ファイアーエムブレム聖戦の系譜をプレイしながら、主にストーリーに関する情報をこのページにまとめていきます。
- ユグドラル大陸史
- ユグドラル全体マップ
- 神と血の盟約者、聖遺物
- オープニング
- 序章 聖騎士誕生
- 第一章 精霊の森の少女
- 第二章 アグストリアの動乱
- 第三章 獅子王エルトシャン
- 第四章 空に舞う
- 第五章 運命の扉
- 第六章 光をつぐもの
- 第七章 砂漠を超えて
- 第八章 トラキアの竜騎士
- 第九章 誰がために
- 第十章 光と闇と
- 終章 最後の聖戦
- エンディング
- 参考資料
ユグドラル大陸史
一章以降の年は推測が含まれています。
年 | できごと | 章 |
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001 | ユン河の西にグラン王国成立 |
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230 |
共和制への移行 |
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310 |
領土の拡大、繁栄の時代 |
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440 |
大司教ガレに暗黒神が降臨(実際はガレが竜族の生き血を飲み、竜族の力を手にした) 「ロプト教団」の胎動 |
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447 |
十二魔将の乱 共和国グランの滅亡 |
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448 |
ガレ大司教、帝位につく ロプト帝国の成立 |
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449 | 大粛清 犠牲者十万人以上 |
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452 | ミレトスの嘆き 暗黒神へのいけにえとして多数の子供が火に投じられる |
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453 | エッダの虐殺 犠牲者、数万人にもおよぶ |
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535 | 皇族マイラの反乱 | |
611 | 各地に自由解放軍が興る | |
632 | ダーナ岩の奇跡 解放軍の戦士に神が降臨し十二聖戦士が誕生する |
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633 | 聖戦の始まり | |
648 | 聖者ヘイムにより暗黒神の化身、皇帝ガレ十七世が倒される ロプト帝国の滅亡 十二聖戦士、グランベル七王国と周辺五王国を建国する |
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649 | グランベル王国の成立 | |
757 | グランベル国軍 東方の国イザークへ遠征 動乱の幕開け |
序章 |
757 | グランベルのヴェルダン制圧 | 一章 |
758 | アグストリアの動乱 グランベルのアグスティ制圧 グランベルとアグストリアの休戦 グランベル王子クルトの暗殺 |
二章 |
759 | アグストリア北方の戦い | 三章 |
759 | シレジアの内乱 | 四章 |
760 | バーハラの戦い | 五章 |
グランベルとシレジアの戦いにより、シレジア滅亡 グランベルとレンスターの戦いにより、レンスター滅亡 |
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762 | アルヴィス皇帝によるグランベル帝国の成立 絶対的な法治主義 少し窮屈だが平和な世の中になる |
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771 | マンフロイの持ってきた黒い聖書でユリウスが変貌 ユリウスがディアドラ殺害 記憶喪失のユリアをレヴィンが保護 (終章から七年前とユリウスが話している) |
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777年から数年前 | グランベル帝国の変化 力による支配、民への弾圧、邪教の復活、ロプト神の復活祭に向けた子供狩り(生贄の儀式) |
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777 | 解放軍によるイザーク制圧 | 六章 |
解放軍によるレンスター制圧 | 七章 | |
解放軍によるマンスター制圧 | 八章 | |
解放軍によるトラキア制圧 | 九章 | |
解放軍によるミレトス制圧 | 十章 | |
778 | 解放軍によるグランベル制圧 ユリウスが倒され、グランベル帝国滅亡 |
終章 |
グランベル王国、シレジア王国、アグストリア王国、イザーク王国、新トラキア王国が新王朝として成立 | エンディング |
ユグドラル全体マップ
神と血の盟約者、聖遺物
私がプレイ時に登場したキャラクターのみ継承者に記載しています。
神(古代竜族) | 血の盟約者 | 聖遺物 | 継承者 |
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聖神ナーガ (Narga) |
聖者ヘイム | 聖書ナーガ | ディアドラ、ユリア (バーハラ) |
風神フォルセティ (Hol) |
風使いセティ | 風魔法フォルセティ | レヴィン、セティ (シレジア) |
聖騎士バルド (Baldo) |
聖剣ティルフィング | バイロン、シグルド、セリス (シアルフィ) |
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黒騎士ヘズル (Hezul) |
魔剣ミストルティン | エルトシャン、アレス (ノディオン) |
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剣聖オード (Odo) |
神剣バルムンク | シャナン (イザーク) |
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槍騎士ノヴァ (Noba) |
地槍ゲイボルグ | キュアン、アルテナ (レンスター) |
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斧戦士ネール (Neir) |
聖斧スワンチカ | ランゴバルト、ブリアン (ドズル) |
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竜騎士ダイン (Dain) |
天槍グングニル | トラバント、アリオーン (トラキア) |
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弓使いウル (Ullr) (ウリル Ulir) |
聖弓イチイバル | ブリギッド、ファバル (ユングヴィ) |
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大司祭ブラギ (Blagi) |
聖杖バルキリー | クロード (エッダ) |
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雷神トール |
魔法騎士トード (Tordo) |
雷魔法トールハンマー | レプトール、ブルーム、イシュタル (フリージ) |
火神サラマンド (火神ファラ?) |
魔法戦士ファラ (Fala) |
炎魔法ファラフレイム | アルヴィス (ヴェルトマー) |
暗黒神ロプトウス (Loputousu) |
大司教ガレ | 暗黒魔法ロプトウス | ユリウス |
オープニング
記憶の彼方の時代、魔王の闇が世界を満たし、世界は悪夢の中にあった。
果てしない嘆きの日々。むなしく見上げる天は暗い。
十二の神、天より来たり。
邪悪な闇に立ち向かい、光を呼び、魔を焼きつくし、失われし希望が再びこの世によみがえった。
そして今、無数の昼と夜がめぐり、全ては伝説の中へ。
考察
- 最初のイラストが表現するもの
- 下部は司教のような風貌の人間が襲われてるので「エッダの虐殺」を表現したものだと思われる
- 上部はロプトウスと戦ってる人間が描かれているのでガレ十七世とマイラ軍の戦いだと思われる
- 十二の神が天より来たりの後の演出
- ファラフレイム、聖書ロプトウス、聖書ナーガと同じ演出
序章 聖騎士誕生
ユグドラル大陸の中央に位置する大国グランベルは、十二聖戦士の一人、聖者ヘイムによって建国された。この国にはヘイムの子孫である王家の他に、やはり聖戦士の血をひく六つの侯爵家(シアルフィ家、ユングヴィ家、フリージ家、ドズル家、ヴェルトマー家、エッダ家)があり、広大な領地と軍隊を有する公国の当主として、王国に従属しつつも独自性を保っていた。
王国の政治は老いたアズムール王に代わって、
才知あふれるクルト王子が取り仕切り、
王子の信任熱いシアルフィ家の当主バイロン卿が、
ユングヴィ家のリング卿とともに、これを助けていた。
宰相の任にあったフリージ家のレプトール卿は、自分の地位がおびやかされることに危機感をおぼえ、
強欲でしられるドズル家のランゴバルト卿をさそって反王子勢力を形成。
ヴェルトマー家の若き当主アルヴィス卿は、国王を守る近衛軍指揮官の立場から政治には関与せず、
エッダ家のクロード神父だけが、一人、国の危険な状況に不安をおぼえていた。
そんなおり、東方より危急の知らせがとどく。
イード砂漠の友好都市ダーナが東の蛮族イザークによって侵略され、住民が虐殺されたというのである。
蛮族、罰するべしとの声が国中に満ち、やがて、イザーク討伐の決定が下された。
クルト王子は、年老いた父王アズムールに代わり、国中の諸公を率いて出陣。
そのかたわらにはつねに、勇壮な武人として知られるバイロン卿の姿があった。
遠征軍が出た後のグランベルにはわずかな兵しか残らなかったが、
国境を接する西のアグストリアと
南西のヴェルダン王国とは同盟の関係にあり、後顧のうれいはない筈であった。
しかしその期待は、あっけなく裏切られた。
ヴェルダン王国の大軍が王子ガンドルフに率いられて、突然、国境を突破し、ユングヴィ城を包囲したのである。
ユングヴィ家の留守をまもっていたのはその娘、エーディンただ一人。
父、バイロン卿から国の守りを託されわずかな部下とともに城に残ったシアルフィ公国のシグルド公子は、この知らせに、がくぜんとする。エーディン公女とは幼なじみであった。
「彼女を蛮族の手にわたすわけにはいかない」
シグルド公子は、すぐさま出陣の決意をした。
グラン歴 757年...こうして運命の扉は開かれた。
それがやがて恐ろしい出来事のまえぶれとなる事も、この時は誰一人として知る由もなかったのである。
グランベル国内は上図のような勢力争いが勃発していた。そんな中、東で蛮族イザークが友好都市ダーナを襲撃し、蛮族を討伐しに王子軍が遠征。国内は手薄になっていた。その状況で、突然の西の同盟国ヴェルダンからの襲撃という流れ。シグルド軍はゲラルドを倒し、エバンス城を制圧するも、そこにはさらわれたエーディンの姿はなかった。
関連人物
- イサール卿
- 名軍師と呼ばれたオイフェの祖父
- アルヴィス卿
- アゼルの腹違いの兄。レックスやアゼルには優しく、アゼルにとっては父親以上の存在だった。決して悪人とは思えないが、ときどき人が変わったように恐ろしくなったという。アゼルはそれが怖くて逃げだしてきた。
第一章 精霊の森の少女
エバンス城にエーディンの姿はなかった。すでに公女はヴェルダン国内へと、連れ去られた後だったのだ。
ヴェルダンは深い森に覆われた国。たびたび国境を荒らしたヴェルダンをグランベルの人々は蛮族と呼んでいる。今のヴェルダン王バトゥの代になって、国境での戦いは止んでいた。おだやかな性格のバトゥ王は、野望にもえる息子たちをなだめ、グランベルとの和平を保っていたのだ。しかし、その和平は他ならぬバトゥ自身によって破られた。バトゥ王は、三人の息子たちにグランベル侵略の命を下した。ジェノア城の次男キンボイス、マーファ城には、長兄ガンドルフ、そして末弟ジャムカ。
森に潜む蛮族たちがシグルドを待ち受けている。エーディンは一体、どこにいるのか、バトゥ王はなぜ、戦いを望むのか...。目の前にひろがるのは、昼なお暗い、ヴェルダンの大森林。精霊が住むという森に、シグルドは足をふみいれようとしていた。
連れ去られたエーディンを助けるため、ヴェルダンに攻め入ろうとするシグルド軍。しかし、エバンス城をあけることでアグストリアの諸公がいらぬ野心を起こしかねない。そこをエルトシャンが見張ってくれることになった。
一方、ジェノア城では、キンボイスが出撃の準備をしていた。ジェノア城を留守にする間、キンボイスはアイラに城を守るよう命じる。アイラは甥であるイザークの王子シャナンを人質に取られており、命令に従うほかなかった。
シグルド軍はキンボイス、ガンドルフを破り、ジェノア城、マーファ城を制圧する。そこでロプト帝国の子孫であるマンフロイ、サンディマのもくろみが明らかになる。彼らはロプト帝国再建のため、暗黒神ロプトウスの復活をもくろんでいた。そのためにはロプト一族の血を受け継ぐシギュンの娘を探す必要があった。シギュンは聖者マイラの祖先。バーハラにいるシギュンの息子と、その娘の二人の血が交わる時、暗黒神ロプトウスは復活するという。
サンディマはマンフロイの指示のもと、バトゥにグランベルがヴェルダン侵略を狙っていると嘘を吹き込み、グランベルと戦わせるよう仕向けていた。それを信じたバトゥは息子たちにグランベル襲撃を命じ、エーディンがさらわれるに至ったのだった。
最終的にサンディマはバトゥを殺し、ヴェルダン軍の指揮をとるが、シグルド軍に敗れる。
第二章 アグストリアの動乱
ヴェルダン王国を制圧したシグルドは、バーハラ城からの命令に従って、国境の城、エバンスの城主となり、ディアドラを妻にむかえた。グランベルによるヴェルダン制圧はアグストリアに大きな混乱をもたらした。
アグストリアの諸公たちは、強い反グランベルの意思を示し、あくまでも和平を重んじたアグストリアの賢王イムカは何者かの手によって暗殺された。代わって国を継いだのはイムカ王の長子、シャガール王子だった。
グランベルの国軍はいまだ、はるか東のイザークにある。シャガールはアグストリアの諸公にヴェルダン侵略の命をくだした。
エバンス城を守るシグルドは再び、戦いの真っただ中に立たされた。
シグルド軍とハイライン軍が争う最中、アンフォニーの領主マクベスは、近隣の村の財産を奪い城に持ち帰るよう盗賊団に指示する。しかし、ちょうどのその村を放浪していたシレジアの王子レヴィン、踊り子シルヴィアが、盗賊退治に協力し、そのままシグルド軍に加勢する。
シグルド軍がハイライン城、アンフォニー城を制圧すると、フュリーがレヴィンを国に連れ戻すためにアグストリアへやってくる。レヴィンが国に戻る決心がつくまでの間、フュリーもシグルド軍に同行することになる。
また、バーハラから来たフィラート卿より、アルヴィスやシギュンに関する話が聞ける。
アグスティ城のマンフロイの会話から、クルト王子が死亡し、残りのナーガ一族がアズムール王だけということが分かる。そして、ディアドラの「神々の系図」を確認するとナーガであることが確認できる。
このことから、ディアドラはアズムール王、もしくはクルト王子の子供であることが分かる。クルト王子の最後の恋は20年前のシギュンとの不倫。シギュンはクルトとの不倫がバレてヴェルトマー公爵が自害した後、ヴェルトマー家を出て、元の村に戻り、娘を出産している。シギュンの娘は現在17、8才という情報がヴェルダンの村で聞けた。
アズムール王の隠し子などでない限り、この時点でディアドラの父はクルト王子、母はシギュンということになる。
シグルド軍はマッキリー城のクレメントを撃破、続いてシャガールのいるアグスティ城のザイン部隊、シャガールを撃破し、アグスティ城を制圧する。
しかし、エルトシャンの希望により、重傷を負ったシャガールは生かされた。グランベルはアグストリアを属国扱いするのかと問い詰めるエルトシャンに、シグルドは1年の間にアグストリアとグランベルの関係を回復させ、グランベルへ帰ることを約束した。エルトシャンはその言葉を信用し、それまで北のマディノ城でシャガールを守ることにした。
用語
- 魔剣ミストルティン
- 勇者ヘズルの末裔エルトシャンが持つ世界最強の剣
- ティルフィング
- シアルフィに伝わる世界最強の剣
- バルムンク
- イザークに伝わる世界最強の剣
- 魔人狩り
- 暗黒神ロプトウスの血族を魔人狩りという名のもとに火あぶりにして殺す行い。アグストリアの大きな街アグスティやマッキリーでは毎年たくさんの人が罪人でもないのに殺されていた。
第三章 獅子王エルトシャン
アグスティを失ったシャガール王は、北のマディノ城に宮廷をうつした。
エルトシャンとの約束どおり、シグルドはこれを追撃しなかった。アグスティ城で兵を休めながら、エルトシャンとの約束を果たすため、シグルドはアグスティ返還の交渉をねばり強く続けた。
しかし、バーハラからの回答はいつもそのままアグスティにとどまり、住民を統治せよというものだった。半年がすぎる間にグランベルから派遣された役人たちが、アグストリアの国土をわがもの顔でのし歩くようになった。アグストリアの民の不満は、少しずつふくれあがっていった。やがて、シグルドが恐れていたあらたな戦いが始まった。
マディノで兵をととのえたシャガールが王都アグスティを取り戻そうと、シグルドに戦いを挑んできたのだ。
マディノの北では、悪名高いオーガヒルの海賊が戦に乗じて、動き始めている。
バーハラからの命令は、アグスティ城を死守せよと告げていた。出陣するシグルドの心は重かった。
マディノの南西、シルベール城にはエルトシャンの軍がひかえている。
この戦いは、友を裏切るものになるかもしれない。シグルドはこの時、アグストリアの北の果てで、歴史をも変える戦いに挑もうとしていた。
シグルドがマディノ城を制圧すると、クロード神父がグランベルの異変を知らせにやってくる。イザーク遠征の帰路、クルト王子が何者かに殺害され、バイロンが失踪し、バイロンに王子殺害の疑いがかけられていることを知らされる。また、シグルドとバイロンが共謀して王子を殺害したという噂も国内に流れている。宮廷は反王子であるレプトール派に占められている状況。
クロード神父はブラギの末裔であり、北西の島にあるブラギの塔で祈れば、すべての真実が明らかになるという。クロード神父と付き添いのレプトールの娘ティルテュはブラギの塔に向かった。
一方、シグルドがマディノ城を制圧した一報を耳にしたディアドラは、シャナンにセリスを任せ、シグルドに会いに1人外に出る。その途中、ディアドラの目の魔に突如マンフロイが現れる。ディアドラがシギュンの娘であることが明らかになる。ディアドラは黒魔法で記憶を消され、アルヴィスの妻にするために連れさられてしまう。
エルトシャンは決意してシグルドに戦いを仕掛ける。エルトシャンはこの戦いで死亡する。シャガールは雇ったトラキア竜騎士団と共に、シグルド軍に挑むが、シグルド軍はこれを破り、シャガールの息の根を止める。
シルベール城にシャナンがディアドラの事を伝えにやってくる。シグルドはそれを聞いて愕然とするが、自分を責めるシャナンを慰めた。
一方、クロード神父とティルテュはブラギの塔で祈りを捧げ、真実を知る。しかし、オーガヒルの海賊に襲われてしまう。オーガヒルの海賊の中ではおかしらのブリギッドが子分たちに裏切られ、追手から逃げていた。
オーガヒルの海賊たちはブリギットを追い詰めながら、アグストリアの大陸に橋を架け、大陸にも攻め込む。
シグルド軍は海賊たちを撃退し、海賊の居城を制圧する。
クロード神父と落ち合ったシグルドはクロード神父からクルト王子殺害事件の真相を告げられた。すべてはレプトールの陰謀だった。
そのとき、突然シグルド軍の前にランゴバルト軍が現れる。ランゴバルト軍はシグルド軍を反逆者として追ってきたのだった。
この絶体絶命のピンチに、シレジアからやってきた天馬騎士マーニャが助けの手を差し伸べる。マーニャはシグルド軍を天馬でシレジアまで運び、ランゴバルト軍から退避させたのだった。
用語
- エーギル
- 人間が生まれた持った生命力
- バルキリーの杖
- 失われていた聖遺物。死んだ人を生き返らせる事ができる魔法の杖。聖者ブラギの子孫である神父クロードだけが使える。ただし、制約があって誰でも生き返らせられるわけではない
- ゲイボルグの槍
- エスリンがバイロンから預かっていた槍。この槍には悲しい言い伝えがあり、エスリンはいざというときまでキュアンに渡せずにいた
- イチイバル
- ユングヴィ家に伝わる神の弓。神の武器を扱えるのは直系の者一人だけで、ユングヴィ家ではブリギッドだけがこの弓を扱える。
第四章 空に舞う
失意の中、北辺の独立国シレジアへと落ちのびた。
風の聖戦士セティによって建国されたシレジア王国は、勇猛なる天馬騎士団と風の魔道士たちに守られ、建国以来百年間、他国に侵略される事もなく、完全な中立を保ってきた。
しかし、数年前に国王が亡くなると、跡目をめぐって王族内で対立がおこり、平和だったこの国にもにわかに戦乱のきざしがみえてきた。
先王には王妃ラーナとの間にレヴィンという王子がいたが、野心あふれる王弟ダッカー公は、レヴィンの王位継承を不服としてザクソン城にたてこもり、また、これに呼応するかのように末弟のマイオス公爵もトーヴェの城に兵を集めだした。
このような状況の中で、レヴィン王子はやむなく国を出たのだったが、王族達の野望は留まるところをしらず、シレジアの美しい大地は、今まさに、戦乱の炎によって焼き尽くされようとしていた。
以下は第四章の登場人物とその関係、もしくは新たに分かった関係を整理したもの。
シグルドは襲い来るマイオス、ダッカーの部隊を打ち破り、トーヴェ城、ザクソン城を制圧し、戦火は鎮まった。
シグルドがシレジアに落ち延びてから1年の月日が流れていた。
用語
- 聖遺物
- 神のアイテム。神の力を受け継ぐ直系の子孫だけが使える。同族同士の血が交われば、血が濃くなって神の力を得ることもある。しかし、それは忌まわしきこととして禁じられている
- 風神フォルセティ
- シレジア王家の風の力は風神フォルセティから与えられたもの。
- 火神ファラ
- ヴェルトマー公爵家の炎の力は火神ファラから与えられたもの。
- 雷神トール
- フリージ侯爵家の雷の力は雷神トールから与えられたもの。
- 暗黒神ロプトウス
- 闇の力を持つ
- 聖神ナーガ
- 聖なる力を持つ。ナーガの力を受け継ぐのはグランベルのヘイム王家だけ。
- 神の血
- 限られた者だけに受け継がれる神の血を持つ者はレベルの高いアイテムを使える。戦士としての能力アップも早くなる。
- 聖なるしるし
- 聖戦士の直系たるものは、幼児期になると体のどこかに聖なるしるしが現れるという。ディアドラにも額にしるしがあり、聖者ヘイムの直系であることが認められた。
第五章 運命の扉
シレジアの内乱をしずめたシグルドをグランベルの大軍が待ち受けていた。ザクソン城を制圧したのち、シグルド達は休む間もなく、リューンベック城のグランベル軍と向き合うことになった。
軍を率いるのは、父のかたきの一人ランゴバルト卿である。父バイロン卿をおとしいれたランゴバルトとの戦いは、シグルドにとって父への弔いでもあった。砂漠の街フィノーラには、アルヴィス卿の有能なる部下、魔法剣士ヴァハが駐留し、ヴェルトマーには、アルヴィスの右腕とまでいわれたアイーダ将軍が城を守っていた。そして、王都バーハラでは、老いて病床にあったアズムール王をアルヴィス卿がたすけ、宰相のレプトール卿が国の治安にあたっている。
王都バーハラへの道のりは長く、討伐隊との戦いはさけられない。これ以上、世話になったシレジアを戦いに巻き込むわけにはいかない。シグルドたちは最後の戦いを決意した。グラン歴 760年 早春、シレジアの山野はいまだに深い雪におおわれていた。
シグルド軍はリューベック城のランゴバルトを撃破し、リューンベック城を制圧する。
ここでシグルドからの要望でオイフェ、シャナンは幼いセリスを連れてイザークの地方へ退避する。戦いが終わったら必ず迎えにいくと約束して。
一方、レンスターに一時帰国したキュアンはランスリッターを引き連れてシグルド軍への援軍に向かっていた。エスリンと幼いアルテナも見送りという名目でついてきていた。しかし、ここでトラバント率いるトラキア竜騎士団の急襲を受けることになる。周りは砂漠地帯。キュアンの騎馬部隊では飛竜の部隊から逃げることは叶わない。
まず、エスリンが殺されてしまう。幼いアルテナを人質とされたキュアンは、手にしていたゲイボルグを捨て降伏する。丸腰のキュアンはなすすべなく殺されてしまう。
残されたアルテナは、ゲイボルグと共にトラキアに連れさられてしまう。トラバントはアルテナを連れ去る目的は語らなかった。
シグルド軍は、そんなことが砂漠地帯の南で起こっているとも知らず、進軍を続け、フィノーラ城を制圧する。
そして、ヴェルトマー城に向かうところで、レプトール率いるフリージ軍と相対することとなる。
しかし、レプトール軍はアイーダ将軍とその部隊から裏切られ、シグルド軍と挟み撃ちにあった結果、全滅する。
アイーダ将軍によると、シグルドが無実であること、すべてはレプトールとランゴバルトのはかりごとであることが明らかになり、彼らの勢力が弱まったところでシグルドに加勢したとのことだった。
シグルド軍はシグルドの凱旋式を執り行うという口実でアイーダ将軍によりバーハラへ案内される。
しかし、凱旋式ではバイロンと共謀して王家の簒奪を謀った罪による死刑をアルヴィスから言い渡される。そこではディアドラがアルヴィスの妻になったことも告げられ、ディアドラはシグルドの目の前に姿を現す。シグルドは理解が追い付かない様子で動揺する。ディアドラはシグルドともっと話したいとアルヴィスに懇願するが、記憶を取り戻すことを恐れたアルヴィスはディアドラを城へと戻した。
そして、シグルドはその場でアルヴィスのファラフレイムによって処刑された。
シグルド軍の仲間たちはアルヴィスの軍勢と戦うも、敗北し、その後の生死は不明である。
かくして、ひとつの時代が終わった。
イザークへの遠征に端を発したグランベルの動乱は一人の若者を数奇な運命へと導き、そして、いくたの悲しい物語と共にはかなくも消えた。
戦いの途上において、傷つき倒れた者、レンスターの王子、キュアン。その妻、エスリン。そしてシアルフィの公子、シグルド。
また、最後までシグルドとともにありながらバーハラでの戦いに敗れて、生死不明の者、シアルフィの騎士、ノイッシュ。シアルフィの騎士、アレク。シアルフィの重騎士、アーダン。ドズルの公子、レックス。ヴェルトマーの公子、アゼル。イザークの王女、アイラ。ユングヴィの公女、エーディン。ユングヴィの弓騎士、ミデェール。ヴェルダンの王子、ジャムカ。ノディオンの王女、ラケシス。自由騎士、ベオウルフ。剣闘士、ホリン。盗賊、デュー。シレジアの王子、レヴィン。シレジアの天馬騎士、フュリー。旅の踊り子、シルヴィア。エッダの司祭、クロード。フリージの公女、ティルテュ。ユングヴィの公女、ブリギッド。
若者達は、理想を求めて戦った。しかし、そのゆめもかなわぬまま戦場に散った。彼らの戦いがいったい何であったのか。そして、光は........
第六章 光をつぐもの
王都バーハラでの激しい戦いは有力諸公のほとんどを死においやり、アルヴィス卿は自らが計画した通りに王国の全権を手に入れることとなった。
彼は敵対するシレジア、レンスターの両王国を滅亡させて大陸を統一し、国民の圧倒的な支持によって、グランベル帝国初代皇帝となったのである。
そしてバーハラの戦いから十七年の時が流れた。
かつてはアルヴィス皇帝を熱狂して迎えた人々も、今ではその圧政にあえぎ苦しみ、また、帝国の支配下にある地方の国々では、人々はまるで奴隷のような生活を強いられていた。
ここイザークでも、人々の苦しさは限界に達していた。
イザーク王ダナンは父親であるランゴバルト公爵ににて、残虐な男であった。
彼はイザークの民を奴隷身分に落とし、みずからはリボーの王宮で快楽におぼれながらも、次男ヨハンをイザーク城に、三男ヨハルヴァをソファラ城に、また辺境のガネーシャ城には腹心であるハロルド将軍をおいて、住民をきびしく弾圧していたのである。
だが、イザークの民には希望があった。
北方の隠れ里「ティルナノグ」にシャナン王子の解放軍が結成され、日に日に力をつけてきた。
そして、彼ら若き戦士たちの中にイザークの人々が光の公子とよび、また、グランベルの皇子と敬う一人の少年の姿があった。
解放軍の若き盟主、その名を、セリスといった。
ガネーシャ城制圧後までに仲間になるキャラクターの関係。
ラクチェのおかげで、ヨハン、ヨハルヴァのどちらか先に話しかけた方が仲間になる。ダナンの長男ブリアンはイザークにおらず、グランベルにいるとの話が村で聞ける。
ダナンのいるリボー城を制圧すると、レヴィンからロプト帝国が復活しつつあるという話を聞ける。そこでセリスは救世主になるよう言われる。
また、レヴィンの話の中でアルヴィスとディアドラの間には、ユリウス皇子という第一子がいる情報が聞ける。家系図を整理するとユリウスやセリスは以下のような関係性になる。
第七章 砂漠を超えて
セリス皇子率いる解放軍の活躍は帝国の圧政に苦しむ人々を勇気づけ、各地で住民の反乱が相次いだ。だが、その多くはまとまりのないまま簡単に撃破され、大勢の人々が帝国兵の犠牲となっていた。
トラキア半島のレンスター王国では、キュアンの子、リーフ王子がフィンにたすけられて挙兵したが、ブルーム王の大軍の前に惨敗をきっし、敵地の中に孤立していた。
イード砂漠を支配する神殿には、ロプト教団のクトゥーゾフ、オアシスの街ダーナには商人上がりのブラムセルと傭兵隊長ジャバロー、
メルゲン城にはイシュトー王子と有能なる女将軍ライザ、王都アルスターにはレプトール公爵の息子、ブルームと、その姪である、女魔道士ティニー。
そして、リボーの街ではセリスを始めとするイザーク解放軍の戦士達が、はるか彼方にあるレンスターの仲間を救うべく旅立とうとしていたのである。
それぞれのむねに思いを秘めて今、セリスたちの新たなる戦いが始まろうとしていた。
セリス軍はまずイード神殿を制圧した。イード神殿に盗みに入った盗賊パティがたまたまバルムンクも盗んでおり、かつ、シャナンのファンであったため、バルムンクを入手することができた。
イード神殿ではロプト帝国の末裔が悪魔になるまでの過去をレヴィンから聞くことになる。
その後、メルゲン城を制圧するが、そこで背後からブラムセルの雇ったジャバロー率いる傭兵団が襲い掛かってくる。これを撃退し、セリス軍はアルスター城へと進軍する。
アルスター城でブルーム軍が劣勢になると、ブルームは東のコノート城へと一時退却する。
地名
- イード神殿
- 奪われた神剣バルムンクがある神殿。ロプト帝国の末裔は長い間、この神殿の地下に隠れ住んでいた。ロプト帝国の末裔は、祖先がロプト帝国に協力した罪で、地上に出れば迫害され、火あぶりにされてしまうから、隠れ住む必要があった。世間では暗黒教団、邪神の一族と言われた。彼らは最初から悪人ではなかったのだろうが、永い年月が彼らを悪魔に変えた。神殿の壁には暗黒神の復活を願う子供の落書きがある。彼らにとってはロプトウスこそが唯一の神だった。
- ダーナの街
- かつて、聖戦の時、自由解放軍の砦があった。帝国の圧倒的な戦力の前に、解放軍は敗退をかさね、最後にわずかばかりの兵士たちが砦に立てこもった。彼らは傷つき、すでに最後の戦いを決意していた。だが、そのとき、奇跡が起こる。神が天より舞い降りて、十二人の若者に不思議な武器と力を授けた。彼らはやばて十二聖戦士とよばれ、解放軍を率いて戦うになる。これが伝説のデーナ砦の奇跡。
登場人物
- ブルーム王
- レプトール公爵の息子。グランベルとレンスターの戦争でレンスターを征服。彼の支配はひどく、最近は子供たちまで奪おうとしている。妻はヒルダ王妃。王都アルスターにいる。レンスター城を落とせない事にやきもきしている。
- イシュトー王子
- ブルーム王とヒルダ王妃の息子。メルゲン城の領主。将軍のライザとは恋人の関係で、ライザを危険な目に合わせたくないと思っている。
- イシュタル
- ブルーム王とヒルダ王妃の娘。マンスター城の領主。
- ライザ
- メルゲン城の女将軍。イシュトーの恋人でもある。
- ティニー
- ブルーム王の姪。女魔道士。アーサーの妹。兄妹で同じペンダントを持っている。解放軍の戦士だった母は、戦いの後、子供を連れてシレジアに逃げたが、生まれたばかりのティニーとともにブルーム王に連れ去られた。優しい性格で、ブルーム王に支配されるレンスターの村人を何度も助けている。母親に先立たれて孤児になったところをブルームに拾われ、育てられた。ブルームからはその恩を売られていて逆らえない。いつも悲しげだった母の様子は覚えている。
- ブラムセル
- オアシスの街ダーナ城の主。商人上がり。高い賞金のかかっているセリスの首を取りたいと思っている。セリスらがメルゲン城と交戦しているところを背後から叩こうとしている。
- ジャバロー
- ダーナ城の傭兵隊長。金さえもらえれば卑怯な戦いでも不服はない。アレスのことは利用しているだけ。命令にそむくアレスを敵とみなす。
- 黒騎士アレス
- エルトシャンの息子。ジャバローのもとで働く傭兵。ジャバローに拾われ、育てられた恩がある。魔剣ミストルティンを扱える。父上のかたきであるシグルドの息子を倒したいと思っている。母親はシグルドを恨み続けて死んだという。レイリアに好意がある。エルトシャンを尊敬しているというセリスに説得され、解放軍に加わり、様子を見ることになる。
- レイリア
- ダーナ城で働く踊り子。ブラムセルに気に入られている。
- リーン
- ダーナ制圧後、アレスが「リーンは無事だろうか。はやくダーナの街へ行かなくては..」という発言をするが、レイリアの間違い?
- クトゥーゾフ
- イード神殿を支配するロプト教団の一人。フェンリルの魔法を使う。
- リーフ王子
- キュアンとエスリンの息子。騎士フィンに助けられ、地方の村にかくまわれつつ、祖国解放の日が来るのを待ち続けた。フィンと共に反乱を起こすが、失敗し、多くの人達がブルーム王によって殺された。イザークからセリスの援軍がかけつけるのを待っている。アルヴィス皇帝とトラバント王を憎む。
- ジャンヌ
- リーフの従者。トリスタンの妹。兄とは幼いときに別れた。父はノディオン王国の騎士。アグストリアの動乱で戦死して幼かったトリスタンとジャンヌはシグルド軍に保護された。その後、イザークへ逃れたが、途中でジャンヌははぐれてしまった。養父である旅の商人がイザークで迷子になったジャンヌを拾った。その養父は帝国兵に殺され、七歳のときにフィンに助けられた。
- パティ
- イード神殿に盗みに入った女盗賊。シャナンのファン。ウルの血統。イード神殿からバルムンクを盗むが、シャナンに渡す。シャナンによるとグランベルのイザーク遠征時にシャナンの父が倒れ、剣が持ち去られたという。盗賊から足を洗って解放軍に協力することになる。
- ファバル
- パティの兄。
- ヴァンパ、フェトラ、エリウの三姉妹
- ブルーム王に仕える魔法使い三姉妹。それぞれエルサンダー、エルウインド、エルファイアーを使う。3人で連携するとトライアングルアタックを発動する。
第八章 トラキアの竜騎士
トラキア半島は二つの顔を持っている。北半島は豊かな大草原に多くの小王国が分立し、
南半島は険しい山々と不毛の大地に竜騎士で知られるトラキア王国がある。
蛮勇をもって知られるトラキアは、北の豊かな土地を手にいれるため過去より何度も侵入をくり返してきたが、レンスター王家の抵抗によって失敗をくりかえしてきた。
イード砂漠でレンスター軍を壊滅させ、ようやく野望は達成されたかに見えたが、フリージ家のブルーム公子が大軍をもってこの地方を制圧、
以後、北トラキア王国として帝国の支配下におかれたのである。
それから十数年、野心家のトラバント王も帝国の武力の前にはなんら手出しのしようもなく、不思議な平和が保たれていた。
しかし、解放軍による王都アルスターの制圧はこの地方の微妙なバランスに変化を与えた。
アルスター城、レンスター城はセリスの解放軍が支配し、コノート城ではアルスターから落ち延びたブルーム王が兵を集め、マンスター城では雷神の異名で知られるイシュタル王女が、トラキアに対する守りを固め、トラキア領ミーズでは国王トラバントが、前線司令官のマイコフ将軍とともに、不気味な沈黙を守っていた。
人々の願いはただ一つ、この地方が再びレンスター王家の支配に戻ること、そして、戦いの幕は上がった。
地名
- ミレトスの神殿
- 子供狩りで囚われた子供が送られる神殿。
登場人物
- イシュタル王女
- 雷神の異名で知られる。ユリウスと愛し合う関係。
- ユリウス皇子
- イシュタルと愛し合う関係。人をひきつける不思議な力と、氷のような冷たさを持った恐ろしい人物。まるで人間ではないような。
- マイコフ将軍
- トラキアの前線司令官。
- ムハマド将軍
- ブルーム軍の将軍。先行してアルスターに進軍。
- オーヴォ将軍
- 騎士団を率いるブルーム軍の将軍。先行してレンスターに進軍。
- セティ
- シレジア出身。マンスターの反乱軍の指導者である若い魔道士。フィーの兄。レヴィンの息子。母が亡くなる前に父に会ってほしくて父レヴィンを探していた。
- トラバント
- トラキアの王。帝国軍と反乱軍を争わせて、両者が弱ったところを叩こうとしえちる。かつて、キュアン夫妻を殺害した際、レンスターを奪える散弾だったが、ブルームに横取りされてしまい、それを恨んでいる。
- アリオーン
- トラバントの息子。
- アルテナ
- キュアン夫妻の娘で、リーフの姉だが、トラバントにさらわれて、トラバントに育てられた。トラバントを父だと思っている。ゲイボルグを扱える。
- ファバル
- パティの兄。妹のために、ブルームに加勢するが、妹に説得され、解放軍の仲間に加わる。
第九章 誰がために
北半島を開放したセリスたちはミーズの城を前進基地として、今後の進むべき道をもさくしていた。
ミーズ城から先は険しい山々が連なる竜騎士の国、トラキアである。トラキア王トラバントはアルヴィス皇帝と結び、グランベル帝国の唯一の同盟者としてこの辺境の地を統治していた。
そして、王都トラキアには二人の子供アリオーン王子とアルテナ王女を、カパトギア城にはトラキアの盾との異名を持つ名称ハンニバルを、ルテキア城には王の腹心であるディスラー将軍を、グルティア城には帝国より派遣された暗黒教団のジュダ司教を配して、解放軍との全面対決を準備していたのである。
トラキアの人々はセリスたちを侵略者と恐れ、みずから武器を取って戦おうとしていた。この戦いに正義はあるのか?誰のためにわれらは戦うのか?それは、セリスたちにとって初めての試練であった...。
アルテナはリーフから、本当の両親がキュアンとエスリンであり、両親がトラバントに殺された真実を告げられる。父だと思っていた男が実の父のかたきだったことにすぐに受け入れることはできなかったが、リーフの目を見て、やさしかったキュアンの眼差しを思い出し、嘘だとは言いきれなかった。アルテナはトラバントのもとに真実を確認しに行く。
トラバントはその真実を認めたが、だからなんだと言い返す。育ての親はわしだ、その事実に変わりはない。おまえの両親はわしが殺した。だからどうしたというのだ?戦争とは殺し殺されるもの、今更そんなことを言っても始まらない。
その言葉を聞いたアルテナはトラバントを殺そうとするが、アリオーンに止められる。父上に刃向かうなら自分が相手になると。しかし、アルテナはアリオーンとは戦えないという。
アリオーンはアルテナに斬りつけるふりをして当て身をした。トラバントはアリオーンがアルテナを殺したと思い、もうこうなれば自分が出陣するしかないという。
アリオーンにはトラキアを守れと言ってグングニルの槍を渡す。もういい、わしは疲れたのだ。あとはお前の好きにせよ。お前ならば奴らにも憎まれておらぬ。好きにせよ。ただし、民をこれ以上、苦しめるな。わしの願いはそれだけだ。そういってトラバントは銀の槍を手に自ら出陣した。
セリス軍はトラバントを打ち倒す。
トラバントが戦死したことをアルテナはアリオーンから聞かされる。アリオーンはアルテナにリーフのもとへ行ってやれと言う。休戦を提案するアルテナにアリオーンは、父上の最後の言葉をきかなければ私もそうしていたさ、今度会うときは戦場だ、覚悟しておけと告げ、アリオーンとアルテナは別れた。
ルテキア城、カパトギア城、グルティア城を制圧したセリス軍はトラキア城のアリオーンに何度も休戦の使者を送ったが、竜騎士の意地にかけて最後まで戦うと耳を貸さなかった。
アリオーンは「三頭の竜」作戦でトラキアの運命をかけた最後の戦いに挑むが、セリス軍に敗れる。
しかし、瀕死のアリオーンは突如現れたユリウスによって連れていかれた。
登場人物
- シャルロー
- ハンニバルの養子。プリースト。孤児だったシャルローをハンニバルが引き取った。ハンニバルに宝だと思われている。
- ハンニバル
- カパトギア城に構えるトラキアの盾の異名を持ち、トラキアで一・二を争う名将。若い時から戦場を駆けまわっていたから結婚はしていない。十数年前に孤児だったシャルローを助け、実の子供のように育ててきた優しい人物。反乱軍との戦いに意味がないとトラバントに主張するが一蹴される。養子のシャルローを宝だと思っていて、それにつけこまれてトラバントにシャルローを人質に取られてしまう。
- カナッツ
- ハンニバルの部下
- ディスラー
- トラバントの腰ぎんちゃく。力もないくせに威張り散らす、嫌な野郎(村人談)。ルテキア城で人質のシャルローを見張る。
- ジュダ
- 帝国から派遣された暗黒教団。ロプトウス復活を望む。
- ムーサー
- 帝国からのトラキアへ駆けつけた援軍の指揮官。シレジアの騎士。父親を反乱軍に殺された。セリスらを憎んでいる。
- トラバント王
- 民からも冷酷な男だと思われている。ハンニバルによると、人を裏切り続けてきたから、誰も信じられなくなった、その状態では人の心はついていかないと。
- アリオーン王子
- 民からはやさしい子供だと思われている。アルテナとは幼い頃から仲が良い。アルテナがトラバントの本当の子供ではない事は知っていた。トラバントからはゲイボルグの槍を自分のために使いたかったのだと聞かされていた。
- アルテナ王女
- 民からはやさしい子供だと思われている。アリオーンとは幼い頃から仲が良い。
その他の情報
- ファバル、パティの両親の消息
- ファバルは少しだけ母親のブリギッドの記憶を持っている。ブリギッドはファバルが幼い頃に消息を絶ったと思われる。しかし、ファバルには父親の記憶がない。パティが生まれていることから、ファバルが生まれた後も父親は近くにいたと思われる。ファバルが親を知覚するようになる前に父親だけ先に失踪した可能性がある。
第十章 光と闇と
トラキア城を制圧したセリスは一路、グランベルを目指して進軍した。
帝国の南、ミレトス地方に到着したセリスたちが見たものは、かつて、貿易で巨大な富を築き、あらゆる勢力から自由だった都市群が、帝国と暗黒教団の支配によって、死に絶えようとする姿だった。
クロノス城のヒルダ王女は、その狂気とも思える残虐さで多くの市民を死に追いやり、ミレトス城のマンフロイ大司教は、ラドス城のモリガン司教に命じて、容赦のない子供狩りを行っていた。富も、自由も、希望も、命さえも、人々の手から失われていった。暗黒教団の儀式のいけにえとして次々と殺されていく人々を、セリスは見過ごすことなどできなかった。
激しい戦いの末に帝国軍を追い払い、自由都市ペルルークを救った解放軍を、市民達は歓呼をもって迎えた。失われつつあったミレトスの希望は、解放軍の到来によって、ようやく、息をふきかえそうとしていたのである。
ユリウスの話す子供狩りの真実は以下のようなものだった。生贄として火あぶりにする訳ではなく、ロプト帝国の奴隷やしもべを生み出すための計画だった。
バーハラでユリアが記憶喪失で倒れていたのは、ディアドラとユリアを殺害しようとしたユリウスから、ディアドラが最後の力でユリアをワープさせたからだった。隠しデモでユリウスがユリアとディアドラを襲う様子を見る事ができる。
ヒルダとモリガンを破り、子供狩りで集められた子供らがいるミレトス城への門を開くセリス軍。ミレトス城でザガムを倒すが、子供らは既にシアルフィ城へ送られていた。シアルフィ城はユリウスの命令でアルヴィスが守りについていた。アルヴィスは子供狩りをやめろとイシュタルに命令するが、ユリウスから阻止される。ユリウスからしもべ同然の扱いを受けていた。逆らう事が出来ないアルヴィスは、シアルフィ城でかつてシグルドの側近だったパルマーク司祭に子供たちを連れて逃げろと指示する。そして、アルヴィスからパルマーク司祭にティルフィングが手渡される。
シアルフィに囚われていたユリアも一緒に逃がそうとするが、マンフロイに阻止され、ヴェルトマーへ連れていかれる。アルヴィスはせめてもの想いでユリアにディアドラのサークレットを手渡した。
逃げた子供らを追う帝国軍。セリス軍は子供らの救出のために出陣する。パルマークからティルフィングを受け取ったセリスは、その手で父親のかたきであるアルヴィスを討つ。セリス軍の前では最後まで悪役を演じたアルヴィス。彼は自らの過ちを悔いていた。せめて、勇者シグルドの持っていたティルフィングをその子に託し、その聖剣が悪魔ユリウスの喉元に届くことを願う他なかった。
地名
- ミレトス地方
- 帝国の南に位置し、かつて、貿易で巨大な富を築き、あらゆる勢力から自由だった都市群。帝国と暗黒教団の支配によって、死に絶えようとしている。
登場人物
- ヒルダ王女
- ブルームの妻。イシュタルの母。クロノス城にいる。狂気ともいえる残虐さ多くの市民を死に追いやる。クロノス城で敗北すると、ワープで逃亡。父、夫、子供らを死に追いやった反乱軍、特にセリスを恨んでいる。
- マンフロイ大司教
- ユリウスからユリアを殺すよう命じられる。ユリアを逃がそうとするアルヴィスを脅し、ユリアをヴェルトマーへ連れていく。
- モリガン司教
- ラドス城にいる。マンフロイに命じられ、容赦ない子供狩りを行う。モリガンの配下によって、子供狩りに反対するラドス民は殺された。
- リデール将軍
- ラドス城の七三将軍。アルヴィスへの忠誠心が強い。モリガンから子供の処刑を命じられ、アルヴィス陛下を裏切れないリデールはやむを得ず命令に従う。勇者の剣を扱う。
- ザガム
- ミレトス城を守る暗黒教団の一人。
- パルマーク司祭
- かつてシグルドの側近だった人物。アルヴィスから子供狩りで集められた子供を連れて逃げるよう言われる。そのときにあるものを渡される。
用語
- 子供狩り
- 建前としては、暗黒神のいけにえとして火に焼かれるために子供を取り上げられること。その絶望を与えることで人々の生きる希望を失わせ、人形のようにおとなしくなった人間をロプト帝国の奴隷とする目的。連れ去れらた子供たちは実際は焼かれるのではなく、ユリウスが教育し、友であろうと、兄弟であろうと、互いを憎ませ、殺し合わせるつもり。生き残った子供だけをロプトウスの忠実なしもべとして帝国の新しい領民としようとしている。
終章 最後の聖戦
セリスたちの長い旅もようやくその最後の時を迎えようとしていた。解放軍の活躍は、帝国の圧政にあえぐ人々を勇気づけ、各地で住民が蜂起した。
まず最初にシレジアが住民の手に戻り、
そして次に、アグストリアが解放軍に呼応して兵を挙げた。
だが、グランベル本国にはまだ、ドズルのブリアン公子率いる斧騎士団、グラオリッター、ユングヴィのスコピオ公子率いる弓騎士団、バイゲリッター、フリージのヒルダ女王率いる雷騎士団、ゲルプリッターなどの、精鋭騎士団が温存され、そして、バーハラにはイシュタルと魔皇子ユリウスが、謎の十二魔将を従えて、不気味な沈黙を守っていた。
イザークでの蜂起からすでに一年余、十二聖戦士は光と闇に分断され、肉親同士が相打つ悲惨な戦いが続いた。そして今、最後の聖戦が始まった...。
エッダ家のロダン司祭、ドズル家のブリアン公子が、反乱軍に制圧されたシアルフィ奪還へと進軍する。
エッダ城、ドズル城を制圧すると、レヴィンは聖戦士の真相を語る。
この大陸の混乱が古代竜族の力によるものだと知った別の古代竜族が、他の世界からやってきて、ダーナの砦に突如現れた。そして竜族は選ばれた十二人の戦士達と血の盟約を交わした。指先に傷をつけて血を流し、その血を戦士達に与えた。解放軍の戦士は竜族の血を体内に取り入れて、聖戦士に生まれ変わった。そして聖戦士たちに自分たちの力を封印した武器を与え、いくつかのいましめを言い残して去っていったのだった。
フリージ城を制圧すると、バーハラに送られた子供たちは皇帝の密命を受けて、フリージの街の修道院に保護されていたことがフェリペから明かされる。イシュタル王女が密かにバーハラ王宮から子供たちを連れだしていた。イシュタルを恐れた兵士たちは修道院に近づくことができなかったため、子供たちは無事で済んだ。
イシュタルはユリウスに死に急ぐのはなぜか?と問われながら、敵討ちのためだとバーハラから出陣する。彼女はティニーの説得にも応じず、雷神イシュタルとしてセリスらと戦い、討たれた。
セリス軍はマンフロイを討ち、ユリアにかけられた術を解く。アルヴィスがユリアに渡したディアドラのサークレット、そこにヴェルトマーの宝物殿の鍵が仕込まれており、そこにバーハラから持ち出された聖書ナーガが隠されていた。
ユリアは聖書ナーガを手にいれ、セリスたちと力を合わせ、ユリウスを討ったのだった。
用語
- 聖戦士の詩
- ~黒騎士ヘズル、魔剣ミストルティンをもって闇を裂き、聖剣士オード、神剣バルムンクをもって闇を打ち払い、聖騎士バルド、聖剣ティルフィングをもって闇をてらす。そして最後に聖者ヘイム、ナーガの聖書をもって天にいのる。いのりは光、光は白い竜となり、暗黒の竜に戦いを挑む。白き竜と黒き竜、光と闇の、いつ果てるともしれぬ長い戦い。いきつくところは勝利か、それとも死か。だが私は恐れはしない。たとえ我らの戦いが敗北に終わろうとも。我らが求めた光は決して失われはしない。私は信じる。我らの心を受け継ぐ者を。私は信じる。我らの光をうけつぐものを~
- 光神ナーガ
- 幼い少女の姿をしていた
- 火神サラマンド
- 老人の姿をしていた
登場人物
- ロダン司祭
- エッダ家。
- ブリアン公子
- ドズル家。ダナンの長男。スワンチカを扱う。
- ロベルト
- エッダ家の将軍。
- フィッシャー
- ドズル軍の将軍。ブリアンの部下
- ダゴン
- ドズル城を守る暗黒教団。
- ヒルダ
- フリージ軍の将。ゲルプリッターを率いる。
- スコピオ
- ユングヴィ軍の将。アンドレイの息子。解放軍に父を殺された恨みを持つ。バイゲリッターを率いる。
- バラン
- フリージ城を守る暗黒教団。
- フェリペ
- アルヴィス皇帝の側近だった男。
- イシュタル
- バーハラから捕らえられた子供たちを連れてフリージの修道院に保護していた。
- メング、ブレグ、メイベル
- イシュタルと共に出陣した将。天馬騎士。フォルセティの血統を持つ。
- 十二魔将
- ユリウスの命令でバーハラ城を守る。アインス(バロン)、フィーア(ハイプリースト)、ツヴェルフ(シーフファイター)、ドライ(ウォーリア)、フュンフ(スナイパー)、エルフ(シャーマン)、ツェーン(ダークビショップ)、ノイン(ソードマスター)、ズィーベン(ビショップ)、ツヴァイ(フォーレスト)、ゼクス(マージファイター)、アハト(セイジ)。ツヴァイがファラ、ゼクスがトード、アハトがフォルセティの血統。
- アリオーン
- ユリウスの命令でアリオーン率いる傭兵部隊がシアルフィ城を攻める。シアルフィ城を攻略し、祖国奪回の足掛かりとするつもり。アルテナの説得に応じ、セリスの味方になる。
- マンフロイ
- ユリアに黒魔法をかけてセリスらを攻撃させる。マンフロイを倒さない限り、ユリアの術は解けない。
- ユリウス
- ダークプリンス。討たれると竜の姿をしたロプトウスが姿を現し、消え去る。
エンディング
エンディングでは、レヴィンが竜族フォルセティだったことが明かされる。
隠しデモで、レヴィンがマンフロイに殺され、竜族フォルセティがバルキリーの杖でレヴィンを生き返らせていたことが分かる。
アーサーとセリスの会話から、聖戦の系譜の「炎の紋章」はヴェルトマー家の紋章だということが分かる。
参考資料
Designer's Node #2 聖戦の謎(その1)
https://web.archive.org/web/19980211010529/http://intsys.co.jp/game/fireemblem/note/2.html