先日、今更ながら『ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王』を初見プレイしました。エコーズではゲーム開始直後のオープニングムービーで主人公らが殺し合う衝撃的な未来を見せられます。このオープニングムービーから始まるストーリー構成について、初見プレイ時に感じたことをこの記事に書きます。
注意:この記事ではエコーズの重要なネタバレを含みます。また、覚醒の冒頭ストーリーや風花雪月のPVにも少し触れています。
- ざっくり感じたことまとめ
- 仲睦まじい幼少期から始まるイントロムービー
- 仲睦まじい様子から一転、殺し合う衝撃の未来から始まる物語
- 物語後半で判明する竜の正体
- 物語終盤、当然訪れたネタバラシ
- 衝撃的な未来を冒頭で提示する構成はストーリーへの強い関心を持たせてくれた
- この手法はFE覚醒でも用いられた手法
- 同じ構成の多用しすぎはシリーズファンにマンネリ感を与えかねない?
ざっくり感じたことまとめ
- 冒頭の衝撃の未来を見せられることで今後のストーリー展開が気になった
- 最後の最後まで展開が読めなかった
- それでいてネタバラシ後には納得できる自然な展開
仲睦まじい幼少期から始まるイントロムービー
ゲームを起動すると、幼少期のアルムとセリカがかつて争っていたドーマ、ミラの伝承が描かれた本を読みながら「僕たちはずっと仲良しでいようね」と語り合うイントロムービーが流れます。
あからさまなフラグに嫌な予感を感じましたが、このあと、そのフラグはすぐに回収されることになります。
仲睦まじい様子から一転、殺し合う衝撃の未来から始まる物語
ゲーム開始直後、いきなりアルムとセリカが殺し合うオープニングムービーを見せられます。アルムはセリカを刺した後、「セリカ、セリカ!しっかりしてくれ!」とセリカの死に嘆いている様子でした。
自分で殺しておいて、それに嘆くアルム。初見ではまるで理解できない状況でした。
そして、このムービーではこちらの竜の頭部が強調されていて印象付けられます。
そう、ホーム画面のEchoesのタイトル画面にもあった竜の頭部ですね。こちらは剣が突き刺さっています。
何かストーリー上、重要な意味を持つことは察しが付くものの、この竜がなんなのか、正直、この時点ではよくわかりませんでした。
次の章を進めていくと、これが1章から1年後の未来に起こる状況であるということが分かりました。
考えても分からないので、私はとにかくストーリーを進めることにしました。
物語後半で判明する竜の正体
そして、来たる4章セリカ編ドーマの塔にて、ジュダからミラが石化した姿を見せられることになります。
これは!ホーム画面とオープニングムービーの竜骨!ミラだったんだ!
この竜頭部にささっている剣はファルシオンでした。ミラが封印されるときに自身と共に封印したものでした。
しかし、オープニングムービーの方の竜頭部にはファルシオンが刺さっていません。
つまり、オープニングムービーでアルムかセリカが握っていた剣はファルシオンだったと私は考えました。でもなぜ封印されたファルシオンが抜けて、セリカとアルムがそのファルシオンで殺し合っていたのかまでは想像が及びませんでした。
最初にあった疑問がいくつか解けたものの、新たな疑問が生まれて余計にわからなくなりました。
一体どういう展開でこの未来にたどり着くんだろう?予想できなすぎて、先がとても気になりました。
物語終盤、当然訪れたネタバラシ
そして、5章、オープニングムービーのことを一時忘れていた矢先、その未来は突然訪れました。
暗闇から現れて襲ってくるドーマに魂を囚われた魔女セリカ。
セリカはわずかに残る意識で「私を殺して」とアルムに語りかけます。
そんなことできるわけないと戸惑うアルムに、ミラがファルシオンを手に取るよう指示します。
アルムがファルシオンを手に取ると、アルムの聖痕が光り、ファルシオンの封印が解けます。
そして、ミラがファルシオンを信じなさいと語りかけ、そのままアルムはセリカと一騎打ちに。このような流れでオープニングムービーに繋がったわけです。
このあと、オープニングムービーの通り、セリカは倒れ、アルムは嘆きます。
この後どうなってしまうんだ?というのも冒頭から気になっていたポイントでした。
セリカと彼女の腹に突き刺さったファルシオンが光り輝き、セリカが宙に浮きます。
そして、セリカの傷口は修復され、彼女は意識を取り戻しました。
これがファルシオンの力なのか、ミラの力なのかははっきりとは言及されてません。
しかし、以下の2点から、ファルシオンの力によってセリカが治癒されたと考えるのが自然です。
- ミラが「ファルシオンを信じなさい」とアルム、セリカに語りかけていた
- ファルシオンにはシステム的に回復効果がある
システム的な設定と、物語上の設定がリンクしているのはいいですよね。
そして、この後すぐに最終決戦になります。冒頭で見せられた衝撃的な光景は、最後の最後でようやくネタバラシがあるというストーリー構成になっていました。
衝撃的な未来を冒頭で提示する構成はストーリーへの強い関心を持たせてくれた
最初にプレイヤーに提示された衝撃的、かつ、予測不可能な未来、そこで示された要素が物語の進行と共に、徐々に明かされつつも、最後の最後まで展開が読めない物語には引き付けられました。
この状況からどのようにしてあのような未来が訪れるのか、それを考えながらストーリーを進めるのはとても面白かったです。そして、その未来が訪れてようやくそういうことだったのか!と納得させられました。意外な展開でありつつも、ご都合主義をそこまで感じさせない自然な展開。
正直に言うと、セリカがドーマに囚われるまでの展開は、セリカがあまりにも簡単にジュダに騙されすぎて違和感ありました。しかし、それを除けば、意外性があり、かつ、自然なシナリオだったと思います。
冒頭のイントロムービー、オープニングムービーの内容はプレイヤーに物語の展開に興味を引き付ける役割として効果的でした。
この手法はFE覚醒でも用いられた手法
このセンセーショナルなシーンから始まる構成は覚醒でも用いられていました。
メイキングオブファイアーエムブレムのインタビュー記事でも覚醒の断章ができた経緯に以下の内容が話されています。
エコーズでも同じような狙いで冒頭にセンセーショナルな映像を持ってきたんだと考えられます。山上さんより「最初にドラマチックであれ」みたいな話がありました。プレイしてすぐ、最初の時点で心をつかむ、万人の心をつかむ、引き込まれるようなものにしてください、と。
シミュレーションRPGって、ちょっと難しいと途中で投げちゃう人もいると思うんです。でも、ストーリーの先を知りたくなれば頑張ってくださるんじゃないかということで、続きが気になるセンセーショナルなストーリーを序盤に持ってきてほしいということを強く言われていました。
メイキングオブファイアーエムブレムより
同じ構成の多用しすぎはシリーズファンにマンネリ感を与えかねない?
このセンセーショナルなシーンを序盤で見せる手法は覚醒以降のシリーズでも使い続けられています。(ifは未プレイなので除外)
タイトル | シーン |
---|---|
覚醒 | 断章のクロム死亡 |
エコーズ | 序章のセリカ死亡 |
風花雪月 | PVの血の同窓会 |
エンゲージ | 3章(最近の作品なので内容は自粛) |
インタビューで語られているように、FEシリーズにおいてはプレイヤーの間口を広げるためには重要な手法なんだと思います。実際、覚醒以降のFEシリーズで新規層を獲得できているのは、このようなストーリーの見せ方があってこそだと思います。
ただ、最近のいくつかの作品をプレイ済みだった私は、エコーズの冒頭を見て覚醒の流れに似てるなと思ってしまいました。そんなに強く気になった訳ではないですが、もし、序盤で味方を殺すような演出が今後のFEシリーズで出たら、またか...って思ってしまいかねないなとは思います。
最初にドラマチックであれ
メイキングオブファイアーエムブレムより
これはFEシリーズにとって、とても重要な要素だと個人的にも思います。私もストーリーの先が気になるからこそ進めたくなるタイプです。
最初にドラマチックであるために、どういう流れにするのか、というところさえ同じでなければ、例えば、覚醒やエコーズで用いられた味方が味方を殺すという流れが再び用いられなければ、そんなにマンネリ感を感じることはないと思います。
風花雪月のPVでもセンセーショナルなシーンを見せられたという意味では同じ手法が用いられてはいますが、過去作と同じ流れだなとは全く思いませんでした。
PV の時点で結構重要なネタバレを受けたので、遊んだ時の驚きが薄れてしまう別の弊害はありましたが...
今後のFEシリーズには最初にドラマチックであり、かつ、マンネリ化を感じさせないストーリーを期待したいです。