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【FE紋章の謎】初見プレイ感想

2024/06/08
(この記事の文字数: 28852)

この記事は、私がファイアーエムブレム紋章の謎の初見プレイした感想をまとめたものです。

私がゲームプレイ時にストーリーに関する情報をメモした記事は「紋章の謎タグ一覧」にまとめています。また、X(旧Twitter)上でも「#ぷあーと紋章」というハッシュタグで進捗や感想を投稿していたので、興味のある方はどうぞ。


注意点

この記事には紋章の謎のネタバレを含みます。ネタバレを踏みたくない方は読まないことをお勧めします。

それと私がプレイ済みFEシリーズについて触れている文章もあるため、それらについても絶対にネタバレを踏みたくないという方は読まないことをお勧めします。

また、聖戦の系譜を比較対象として、ネガティブな要素を挙げている部分がありますが、批判の意図は一切ありません。(聖戦の系譜については 聖戦の系譜初見プレイ感想に書いた通り、大好きな作品のひとつです)

私は紋章の謎を初見で一周しただけですので、もしかしたら間違った解釈などあるかもしれませんが、ご容赦ください。

クリア済みのFEシリーズ

前提として、私が最後までクリアしたことがあるFEシリーズは以下だけです。
  • 聖戦の系譜
  • 覚醒
  • 風花雪月(+無双風花雪月)
  • エンゲージ

見覚えのある盾、オープニングで語られる大陸の伝承に高まる期待

ゲーム起動直後、FE覚醒で見覚えのある盾が表示されます。

覚醒でも重要な意味を持ったこの台座が、紋章の謎の世界ではどんな意味を持つのか関心が高まりました。また、クロムの祖先がマルスであることは知っていたので、元祖ロードがどんな活躍をするのかとても楽しみになりました。

その後は、聖戦の系譜のオープニングと同様にアカネイア大陸に伝わる物語が語られます。

壁画テイストのイラストと古語のような文章で、少々分かりにくい部分もありましたが、かつて大陸で竜が暴れ、人々が絶滅の危機に瀕したとき、神の化身が盾の力で竜を地に沈め、人を救ったということは把握できました。

聖戦の系譜でも、冒頭で語られた物語には、隠された謎があったので、紋章の謎でもそういった要素があるのではないかと期待しました。

とは言っても、紋章の謎のストーリーにはもともとそんなに面白さを求めていませんでした。当時ファミコンで発売された暗黒竜と光の剣にそんなに重厚なストーリーが描けるとは思っておらず、そこから派生した作品である紋章の謎についても同様だと思っていたからです。

そんな期待の薄さが逆に裏切られることになるなんて、このときの私は少しも思っていませんでした。

予想外に面白すぎたストーリー

前の項目でも書いた通り、もともと紋章の謎のストーリーにはあまり期待していませんでしたが、結論としては、紋章の謎のストーリーはめちゃくちゃ面白かったです。

具体的に面白かった部分を書いていきます。

長編の1部に支えられた2部のストーリー

まず最初に言いたいのは1部を長編で用意してくれたことへの感謝です。当時の開発者コメントによると2部を最初に作り、1部は後から3~5マップ程度作っただけだったそうです。作ってるうちにストーリーのために必要だということで20マップになったそうです。

第1部の物語がしっかりと紡がれたからこそ、第2部の物語がより魅力的に感じられ、引き込まれました。

1部で登場した多くの人物が、2部では立場を変えて再登場し、時には仲間として、時には敵として姿を現します。そして、1部では明かされることのなかったアカネイア大陸の歴史に隠された謎と共に、各キャラクターの知られざる過去も明かされていきます。

第1部で一緒に戦った仲間たちが、2部で再び姿を現したときはめちゃくちゃテンションが上がりました。彼らの人物像を一定程度理解しているからこそ、そのキャラクターに興味を持ち、彼らの過去や行動について考察するのが楽しくなります。

第2部の物語は、第1部なくして成り立たないと言っても過言ではないでしょう。しっかりとした第1部が用意されていたことは、この作品の大きな魅力を引き出すための重要な基盤であったと思います。

驚きが絶えない2部のストーリー展開

第1部については想像通り、ドルーア帝国という「悪」に立ち向かうアリティア同盟軍という「正義」の構図で、勧善懲悪な分かりやすい物語でした。1部単体で見れば、物語の奥深さやキャラの深掘りはほとんどなく、物語を考察する面白みは薄かったです。

しかし、物語は2部以降、新たな展開を迎えます。1部の物語の裏に隠されていた様々な事実が明らかになっていき、シンプルだった物語が一気に奥深く濃密な物語へと姿を変えます。

2部が始まるとすぐにロレンスを中心としたグルニアの反乱が勃発します。なぜ反乱が起こったのか、なぜロレンスがリーダーとなったのか、マルス視点でこの反乱は本当に鎮圧すべきものなのか。たくさんの疑問が次々と湧き上がり、それらを知りたい欲求にかられ、私はあっという間にその物語に引き込まれます。

1部ではロレンスを仲間にしていなかったため、1部ではあまり彼の情報を得ることができませんでした。しかし、それでも知っているキャラクターが登場すると興味を引かれます。その後、オグマが登場した時なんかは大興奮でした。ロレンス、オグマと協力してラングを倒すことができたらいいのに、と思わずにはいられませんでした。

ハーディンはなぜ豹変してしまったのか。ニーナは無事なのか。ユベロ、ユミナ、そしてオグマはどうなってしまったのか。ミシェイルはミネルバをさらって何を企んでいるのか。シスターたちは一体どこへ行ってしまったのか。シスターを連れ去った人物とは誰なのか。各章で様々な疑問が生まれ、それらを抱えたまま、物語は次の展開へと向かいます。

アカネイア連合軍に襲われたアリティア城が落城し、マルスらはアカネイア軍に追われ、14章の氷竜神殿で「紋章の謎」が明らかになるまで、驚きが絶えず、私は物語の進展を知ることに夢中になりました。

1部で忍ばされた伏線や未解決の謎が、2部で丁寧に回収されていく流れは素晴らしかったです。物語は最後まで息を飲む展開が続き、非常に魅力的でした。

一部のキャラについては、その過去や素性についての深掘りもあり、各キャラへの愛着も深まりました。キャラクターの魅力について語りたいことは多いのですが、また別項目で書きます。

華麗なる「紋章の謎」タイトル回収、おそるべし軍師モロドフの策

紋章の謎の「ファイアーエムブレム」は物語の中で特に重要な意味を持つアイテムでした。

1部5章でニーナから「王家の代理として世界を救う者に与える覇者のあかし」としてマルスに授けられます。

このとき私は「エムブレム」を勲章のようなものだと想像していました。いや、まさかあんなごつい盾をニーナ王女が持ち歩いてるなんて思わないじゃないですか。

そして、アイテム効果は宝箱を開けられるようになること。「あーあ、ジュリアン解雇のお知らせだよ」なんてこの時の私は冗談を呟きながら笑ってました。

まさかそれがストーリーの伏線になっていただなんてつゆ知らず...

そして、メディウスとの決戦が迫った1部19章、軍師モロドフより「封印の盾」の話が聞けます。

  • 神が人々を守るために「封印の盾」を地上に残した
  • メディウスは封印の力が及ばない城の中でしか竜でいられない

そんなことが語られました。ゲーム起動時に出てくる盾が「封印の盾」であること、これまで入手したオーブが「封印の盾」の部品であることは、なんとなく察してはいました。

きっと、この大陸のどこかに眠っているその「封印の盾」の力がメディウスを抑え込んでくれているんだ、と私は盛大に勘違いしてしまいます。クリア後に見返すと、ここはミスリードを誘う巧妙な情報の出し方になっていることが分かります。

おそるべし軍師モロドフ。

結局この後、1部ではそれ以上この盾について深掘りされることもなく、メディウスを倒し、1部エンディングを迎えます。私の頭からは一旦封印の盾のことは消え、第2部のハーディンの異変に思考を振り回されることになります。

そして、第2部2章、リンダからファイアーエムブレムを受け取ったマルスから衝撃の事実が明かされます。

え!ファイアーエムブレムって盾だったの!?
え?盾?封印の盾とはまた別物だよね?

このとき私は、盾が複数あることに多少疑問を持ちつつも、「封印の盾」と「紋章の盾」は別物だと思い込みました。

1部の最後で「封印の盾」が大陸のどこかで力を放っていたからメディウスを抑え込むことができていたんだ。それはマルスが持っていたファイアーエムブレムとは別物だったじゃないか。

そう、軍師モロドフ、彼から繰り出された巧妙な策により、私は知らぬうちに真実への道を閉ざされていたのでした。

そして、2部14章氷竜神殿にて、今まで閉ざされていた真実への道が突然開かれることになります。

あああーー!紋章の謎ってそういうことか!
宝箱を開けられる効果ってそういうことか!

今まで点と点だったものが一つの線になり、私はマルスと共に衝撃を受けることになったのです。

1部では一切明かされなかったエムブレムの特徴、まるでゲーム進行の都合で追加されたかのようなエムブレムのアイテム効果、実はそこに秘められていた伏線、王国の都合のいいように塗り替えられたアカネイアの歴史。

そして、モロドフのミスリードを誘う発言があったからこそ、私はここまで「封印の盾」「紋章の盾」が別物だと疑わなかったのです。だって普通に考えたら、特別な盾が2つも登場するなんて不思議なので疑いますよね。

神軍師モロドフよ、素晴らしき驚きをありがとう。

嘘でしょ!?まさかのガトーとチェイニーの正体

1部では正体不明のキャラクターが2人登場します。ガトーとチェイニーです。ガトーの話を初めて聞くのは1部8章、ディール要塞の老人からです。


偉大なる三人の司祭の1人。ミロア以外、ガーネフは倒せないと老人が話しているのを聞いて、ガトーではなぜガーネフを倒せないのか、伝説の大賢者ガトーと呼ばれる人物は実在するのか、など疑問に思いながら物語を進めました。

そして、12章、カダインではガトーとマルスのファーストコンタクトがあります。マルスのことをかわいそうに思ったガトーが魔道で話しかけてきます。

あ、ガトーってちゃんと現存したんだ。

ガトーがガーネフとミロアの師匠だったこと、ガーネフがマフーを盗み出して世界征服を企んでいることを聞かされます。想像もしていなかった面白い関係性だったことに、裏にどんなエピソードがあるんだろうとわくわくしました。ガトーはマフーを破る手段「スターライト エクスプロージョン」(長い)の存在を教えてくれます。この魔法を使うには星のオーブ、光のオーブが必要で、それを洗脳チキが守るラーマン神殿から回収する必要がありました。

この時、ガトーがなぜ自らオーブを回収し、ガーネフを倒さなかったのか、私には理解できませんでした。大賢者ガトーならたやすい気がします。FEH ではガトーがスターライトを使ってるので、スターライトを使えない制約はないはずですし。もしかしたら、かつて人間に幻滅したガトーは、もはや人間を助ける意志を失っていたのかもしれません。しかし、マルスが他の人間とは異なる存在である可能性を感じ取り、マルスを試そうとしたのかもしれませんね。

1部13章アリティアではドルーアに捕えられたチェイニーが仲間になります。

遠くの国からやって来たという「変身能力」を持つ謎の少年。そんな特殊能力を持つ彼がただ者ではないのは明らかですが、それ以上、チェイニーの正体について語られることはありませんでした。

そして、1部20章メディウス討伐直前、ドルーア城内にてガトーから次のような話が聞けます。


「はるか昔、おろかなる人間達に」「人間もまだすてたものではない」

これらの言葉は、まるでガトーが人間ではないかのような発言に聞こえました。

「ガトーってもしかして人間じゃなかったりする?」と 一瞬思いましたが、かなりの高齢のようなので、自身の若い頃を「はるか昔」と表現し、若いうちに達観しすぎていたため、他の人間を「人間」と称していたのかもしれない、もしくは、竜族の力を手に入れて長寿になった人間なのかもしれないと想像しました。

なぜガトーが竜族であることを疑わなかったのかというと、魔道を使う大賢者、それも老人の賢者が今まで私の中にあったマムクートのイメージに合わなかったからです。ガトーが竜化するイメージが全くわかなかったのです。

いずれにせよ、ガトーやチェイニーが何者であるかについてほとんど分からないまま1部エンディングを迎えます。

そして物語は2部へ。

2部9章ではガトーが何百年も昔から生きているという話を聞けます。


ガトーが長寿であることを知った私は、もしかしてガトーって竜族だったりする?と一瞬思いました。しかし、やはり魔道を使う大賢者が竜族であるのに違和感があったため、「まさか竜族な訳ないよねぇ」と、自分の中にわずかに湧いた疑問をすぐに否定しました。

その後も「ガトーって一体何者なんだろう」「チェイニーって一体何者なんだろう」と考えながら、物語を進めました。

来たる2部12章、フレイムバレルにてチェイニーから衝撃の事実が明かされます。

えええええええええ!!!!うそでしょ!?
ガトー本当に竜族だったの!?そしてチェイニーお前も!?

彼らの正体を知った時は本当に驚きました。

ガトーは一度は竜族であることを疑ったにせよ、さすがに違うよねぇと自分の中で否定していましたし、チェイニーに関しては、竜族だなんて微塵も思っていなかったので、思わず声が出るくらい驚きました。

今思えばチェイニーの「変身能力」は、聖戦の系譜における様々な姿に形を変えて人間の前に現れたという古代竜族の伝説を彷彿とさせます。さすがにそれだけの関連性で彼の正体を察するのは無理でしたが。

ガトーもまた、竜族であることを示唆する様々な手がかりはありました。しかし、絶妙な手掛かりの示し方だったので、正体を明かされるまで気が付かなかった人も多かったんじゃないでしょうか。

ちなみに以下は X (旧Twitter)でガトーの正体にいつ気づいたかアンケートを取った結果です。

ほとんどの人が物語で正体が明かされるまでガトーの正体に気づかなかったようです。

この二人は竜人でありながら、竜石を捨てているため二度と竜化できない状態なのもあり、FEH を遊んでいても全く竜族のイメージがありませんでした。それも功を奏して、FEH を遊んだ後にプレイした人間にも正体がバレることなく、最高の驚きを与えてくれました。

そして、この後、彼らから語られる竜族の歴史がまた興味深いんです。
(次の項目へ続く)

紐解かれた歴史により崩れ去った1部での善悪の構図

チェイニーとガトーの正体に迫るにつれ、彼らの過去や、目的が徐々に明らかになります。

竜族と人間の歴史

古くからアカネイア大陸に住み着いていた竜族は、ある日突然種の終わりを迎え、退化が始まりました。子供が生まれなくなり、やがて理性を失い多くの竜族が野生化しました。退化から逃れる方法はたった1つ、竜石に竜の本性を封じて、人間として生きることでした。

しかし、竜としてのプライドを捨てられなかった数千もの竜族は、野生化し、大陸に住んでいた人間を襲いました。

竜族の王だったナーガは、人間を守るために戦いました。ナーガは戦いに勝利し、眠った地竜族を地の底に封印し、封印の力を維持できるよう封印の盾を作りました。しかし、この戦いで力を使いすぎたナーガは、人間が身を守るための武器と、生まれたばかりの娘であるチキを残し、死亡します。

それから、ガトーとチェイニーはナーガの教えを守り、人間を助けました。

しかし、人間は、目先の利益のために封印の盾を壊し、地竜族の封印を解く引き金を引いてしまいます。さらにナーガが人間のために残した武器で戦争を引き起こし、やがて大人しく暮らす竜族にまで攻撃するようになりました。

それに怒った地竜族で唯一ナーガに従いマムクートとなったメディウスがドルーア帝国を築き、ドルーアとアカネイアの戦争に発展します。それが解放戦争でした。

解放戦争を機にガトーは人間が身を守れるよう魔道書を与え、魔道を教えました。やはりそれは戦争の道具として売買されるようになります。ずっとナーガの教えを守り続けてきたガトーはついに人間に愛想を尽かし、人間との関わりを断ちました。

マムクートと人間の対立は、すべて人間の愚かさが招いた事態でした。プレイヤー目線では1部で悪だったドルーア帝国が、この歴史を知ることで、単純な悪ではなくなります。

単なる歴史の記録ではなく、ガトーやチェイニーが見て感じてきた経験そのものがマルスに伝えられた訳ですから、マルスの心も大きく動いたことでしょう。

聖戦の系譜も善悪を考えさせられるストーリーでした。聖戦の系譜では、ロプト帝国出身者の迫害が物語の序盤から描写されていて、敵視点の苦しみが飲み込みやすいシナリオになっていました。

紋章の謎は、聖戦の系譜ほど、ゲーム中で敵視点の深掘りはないので、メディウスが人間を根絶やしにしようとするほど怒ったことを理解するには想像力が必要です。いったい人間が竜族にどんな酷いことをしてきたのか。人間の愚かさや残酷さ、人間を守り続けてくれた竜族への裏切りの数々を想像する必要があります。

それについて考えれば考えるほど、メディウスへの同情の気持ちが湧きあがると共に、人間視点でもアカネイア王族への憤りが湧いてきます。アカネイアに酷い扱いを受けてきたマケドニアの状況を見てきたミシェイルも似たような気持ちだったのかもしれませんね。

では、なぜナーガは自分の命をかけてまでそんな愚かな人間を助けたのでしょうか。それはゲーム中では語られていません。

FEH のガトーの台詞でその理由について少し触れられています。

人間の活力が、次の時代で必要であり、竜と人の双方を救う道だと察していたからナーガは人間を助けたのかもしれないとガトーは話します。

そして、紋章の謎の二千年後の世界であるFE覚醒では、竜人に子供が生まれています。それも竜族同士の子ではなく、竜族と人との間で子が生まれています。


(FEH 英雄紹介ンンのページより)

退化によって子供が生まれず、滅びの運命を背負っていた竜族は、人間と結ばれることで、その運命から逃れることができた、と解釈することもできます。

竜族と人間の歴史が、ガトーやチェイニーの竜族視点から語られることで、彼らの苦悩や、人間の愚かさがよりリアルにプレイヤーに訴えかけられました。この視点変換により、1部ストーリーで築かれたドルーア対アカネイアのはっきりとした善悪の構図が崩れ、より深みを持ったストーリーへと昇華したように感じます。

そして、この歴史設定を通して、FEシリーズの竜族のルーツを知ることができたことは私にとって大きな価値がありました。それについては次の項目に続きます。

FEシリーズお馴染みの竜族のルーツを知れた

FEシリーズで必ず出てくる竜族、マムクートについて、紋章の謎のストーリー中でその成り立ちが語られます。もちろん、シリーズすべての作品で共通の設定という訳ではないですが、FEシリーズの原点とも言える本作品の設定は、以降のシリーズでも通用するものがあります。

紋章の謎で分かる竜族、竜人についての設定は竜族、竜人族関連の設定まとめにまとめておきました。

覚醒をプレイしたとき、マムクートについてはあまりよくわかっていなかったのですが、まさか種の滅びから逃れるために竜の本性を竜石に閉じ込め、人間になった姿だったなんて。紋章の謎をプレイした後に覚醒をプレイした人と、そうでない人では竜族に対する印象が大きく違うんでしょうね。

そして竜石の力を使いすぎることに死亡リスクがあることも知りませんでした。神竜の力を使い果たすと寿命を迎えるという設定はFEエンゲージにも引き継がれていますよね。

竜石を使うことは寿命を削ることな訳ですから、FE覚醒を遊ぶ前に紋章の謎を遊んでいたら、ノノに竜石を使わせることにも躊躇していたかもしれません。

FEシリーズでお馴染みの竜族や竜人のルーツを知ることができたおかげで、以降の作品をより楽しく遊べるようになったと思います。

つまり、紋章の謎をプレイすることは、その後のFEシリーズのプレイ体験を高める価値があるとも言えます。

アニメ調の顔グラがとても魅力的

ここからはキャラクター関連で思ったことを書き連ねていこうと思います。まずは顔グラについて。

紋章の謎のキャラの顔グラはアニメ調で描かれています。

遊び始めてまずマルス、シーダの顔グラにはとても魅力を感じました。

FEH で実装されている紋章の謎のキャラクターにはリメイク版のリアル調のグラフィックベースで実装されているキャラクターも多くいて、私の中ではリメイク版の印象が強く根付いているキャラクターも多いです。

1部2章で仲間になるオグマもその1人。リメイク版ベースのデザインよりも隊長っぽさが感じられて、どことなく優しさの感じられる目に引き込まれました。

その他にマリクとかもそうですね。その後登場するキャラクターも全体的にリメイク版のデザインより好みでした。

リメイク版もリアリティがあって別の良さはあるのですが、デフォルメされている方がかっこいい、美しい、かわいいをより強調して表現できているような気がして個人的には好きです。

1部のキャラの淡泊さが逆に後半の物語を引き立てた

1部ではゲーム中、あまりキャラクターの深掘りがないので、何者なのかがよく分からないままのキャラクターが多かったです。

多くのキャラクターが理由も分からぬままアリティア同盟軍に参加していきます。

例えば、レナはガルダ港町の病人の病気を治すために薬草を探しにデビルマウンテンを訪れていたはずなのに、アリティア同盟軍に助けられ、そのまま同行することになります。

え?町人の病気はどうするの?なんでついてくるの?と率直に疑問に思いました。

一時的に協力してくれただけのワーレンの傭兵シーザ、ラディもなぜか章が終わるとアリティア同盟軍に加わります。

もともとはファミコンで作られた作品ですので、その辺に突っ込むのは野暮だと思いつつも、聖戦の系譜のように各キャラクターの深掘りがしっかりとされている作品を事前にプレイしていたので、もっと仲間になる理由がほしい!各キャラクターの背景設定が知りたい!という気持ちにはなりました。

この時代のFE作品は漫画や小説、資料集など、ゲーム外でキャラクターの設定が深掘りがされることが多かったようですので、その影響も強かったのかもしれません。

しかし、この淡泊さが逆に2部を引き立てる役割を果たしていたとも思えます。

例えば、オグマについては1部では単にタリスから派遣された兵隊長というだけの人物でした。しかし、2部では序盤からストーリー上の超重要人物となります。更にシーダとの知られざる過去が明かされ、1部から飛躍的に魅力的なキャラクターとなった1人です。

1部では深掘りされなくても、味方として長い間旅をすることで愛着だけは湧きます。そこから、愛着を持ったキャラクターに関する詳細情報が与えられるので、プレイヤーの中にそれらの情報がすっと入ってきて、キャラクターへの愛着がより強まります。また、そのおかげで強い関心を持った状態で物語を追うこともできます。キャラクターの魅力や物語を引き立てるプロセスとしては効果的だったように思います。

仮に2部の設定が後付けだったとしても、全く違和感を感じさせない秀逸な肉付けだったと思います。

有名なネタキャラクターたち

FEシリーズには、その作品を遊んでいないのになぜか知っているネタキャラクターがいます。紋章の謎にも、プレイ前から知っていたネタはいくつかありましたので、それらを紹介します。

きずぐすり

まずは何といってもFEシリーズで最も有名な傷薬。最初のマップでお目見えできて感動しました。

ちなみに X (旧Twitter)上で取ったアンケートでは、リフの本体はお姉さんではなく、傷薬が多数派でした。

マジサジバーツ

FE界隈で「マジで?」の代わりに使われる「マジサジバーツ?」。実物が見れて感動しました。

この中でバーツは1部の最後までスタメンでした。最初から手斧も持っていたのもありますが、攻撃力が高く、最後の最後まで大活躍でした。後日談でバーツが海賊になった噂があり、バーツのことが気になって夜も眠れませんでしたが、結局2部では姿を見ることができなかったのは残念でした。(新・紋章の謎では海賊を経て、最終的に木こりになった状態で2部でも仲間になるそうです)

カシム

カシムについては遊ぶ前は知らなかったキャラクターなんですが、仲間になるときのセリフがあまりにも胡散臭くて、その時点から怪しんでいました。母の薬を買うためのお金をもらった後、タリスに帰らずにマルス軍についてきます。母のところに戻らなくていいの?もしかして、嘘ついて金を受け取るやばい奴じゃないか?と仲間にしたときに思いました。

案の定、最後の最後でサギ師設定が。

紋章の謎を遊び始めた時、ちょうどFEHの方でも実装され、話題となっていたのもありますし、1部では普通に最後まで弓枠のスタメンで起用していたので印象深いキャラクターです。

そして、クリア後にデザイナーズノートの裏設定を読んだときは、あまりのギャップに涙が止まりませんでした。カシムよ、やばい奴だと疑ってすまなかった。

ゲーム中ではプレイヤーにクスッと笑いを与えてくれる詐欺師キャラとして印象付けられ、後々別媒体でその行動には悲惨なバックストーリーがあったことを告げられ、ただのネタ枠ではなかったことにプレイヤーに罪悪感を与えてくる。そんなキャラは後々のFEシリーズを通してもそういないでしょう。

マチス

妹を平気で攻撃するダメ兄貴キャラクターとして噂を聞いていたので、遊ぶ前から知っていました。実際、1部4章で妹のレナを攻撃してきたんですが、まさか妹に会いたかったなと言いながら妹を槍で突いてくるとは思ってなかったので、面白いどころか恐怖を感じました。

黒目の焦点が合っていないように見える顔グラも相まって、戦争で恐怖を消すために薬物でもやってるのかなと思いました。

そして、第2部でも全く同じセリフで攻撃してきます。まるで妹を探して彷徨う亡霊のようで怖かったです。

いや、逆にこれだけ妹への想いが強いなら、2部終章で生贄にされたレナを救うことができるんじゃないか?と思い、一度も使わずの戦闘力皆無のマチスをしぶしぶ最終マップまで連れて行きました。

しかし、やはり妹を攻撃することしかできず...

逆に、最初から最後まで一貫性がすごい。もはやここまで来ると芸術的でさえあります。

そして、後日談では公式からもバカ兄貴の称号が。1部も2部もいい加減な日々を過ごしていました。

レナと結ばれたジュリアンも大変だ...

攻略では全く使うことがなかったのに、無駄に印象に残ってしまったキャラクターでした。

ビラク、ロシェ

ビラクはFEH 実装時に原作再現度が高すぎるということで話題になっていたので、遊ぶ前からその無表情な顔が目に焼き付いていました。

改めて凄まじい再現度の高さ。FEH を遊んでいる人間なら一目でわかります。

ロシェは、FE界隈で同意するときに用いられる「そうだよロシェ」という台詞で名前だけ知っていました。マルスが世界征服を企んでいるというハーディンの話を信じられないロシェ。ゲーム中でのこの台詞は、ビラクがそんなロシェにハーディンを信じるよう説得するときの台詞でした。


何の変哲もない台詞に思えたので、最初、なぜこれがネタにされているのかがわかりませんでした。

教えていただいた情報によると、どうやら当時流行った某漫画の主人公にビラクが似ていて、ビラク自身がネタにされており、何の変哲もない台詞もネタとして使われるようになったからだとか。今思えば「いい男」「うほっ」といった文字列が顔画像に添えられているのをSNS上でよく見かけていたような...

シリウス

変装がバレバレの男シリウスが「すまぬ仮面」という愛称で親しまれていることは紋章の謎プレイ以前から知っていました。きっと「すまぬ」っていう口癖でもあるんだろうなとその愛称から想像していました。

2部4章で初めて登場したとき、シリウスが「すまぬ」と言うのを身構えてたんですが、オグマしか「すまぬ」と発言しませんでした。

さすがにこれのことじゃないだろうと思い、きっとそのうちシリウスが「すまぬ」を言うはずだと期待しますが、物語を進めど、シリウスがそれを口にすることはありませんでした。

一体いつになったらこの男は謝るんだと思いながら、ついに、最後の最後、メディウス戦にて。

すまぬ仮面ついにきたーー!!

いや、確かにすまぬっていうのをずっと期待してはいたんですが、こんな感動的なシーンでそれを言うなんて。「すまぬ仮面」というネタ用語を知らなければ普通にいいシーンなのに、若干面白い感じになってしまい、何とも言えない気持ちになりました。唯一遊ぶ前に知るべきじゃなかったネタ用語だったと後悔しました。

あとで教えていただいたんですが、実はこのシーンが由来ではなく、死亡時の台詞の「すまぬ」が由来だそうです。シリウスは幸運が低く、敵から必殺を受けて死亡することがよくあり、そのときに「すまぬ」と言うので「すまぬ仮面」と呼ばれるようになったと。大納得。

ラング

名台詞「…とみせかけて バカめ!しね! 」を発言した張本人。紋章の謎をプレイする前からX(旧Twitter)等ではよく見かけていたのでこの台詞自体は知っていました。

これが噂に聞く名台詞か!と、本物が見れて感動しました。

窮地で命乞いをする行為はドラゴンボールのフリーザなんかも有名なように、自分本位な悪役にはよくある行為ですよね。

ラングもそういったよくいる悪役の1人ではあるんですが、「と...ゆだんさせといて..」とわざわざ発言してるのがラングの中々に趣深いポイントです。そんな間を与えずに油断した相手をいきなり攻撃した方が不意をつけるのに、つい心の声がもれてしまったんでしょうか。せっかく作りだした油断を台無しに、あっさりと返り討ちにされるラング将軍。実に趣深い。

真面目に考察すると、この時代のゲームでは会話だけですべての様子をプレイヤーに伝えなければならないので、ラングの心の声もわざわざ発言させる必要があったのでしょうね。今のゲームだったらCGアニメーションでキャラの動きを繊細に描写できるので、言葉なくしてその様子を伝えられますし、スーファミだったからこそ生まれた名言であるとも言えます。

ラングにはこの時代に生まれてくれてありがとうと言いたい。

印象深いキャラクターたち

紋章の謎には印象深いキャラクターが多くいるのですが、全部は書ききれないので、個人的に特に印象深かったキャラを紹介します。

オグマ

オグマは紋章の謎の仲間の中でも特に好きなキャラでした。理由はいくつかあります。

グラフィックがかっこいい

まず第一に顔グラがかっこいい。

私はFEHを先に遊んでいたため、FEH に初期に実装されたリメイク版由来のオグマの印象がありました。リメイク版もかっこいいんですが、SFC 版のオグマのアニメ調のグラフィックを見たとき、イケメンすぎて「オグマかっけぇ」とつい漏らしてしまいました。

鋭いけど、どことなく柔らかさを持つ眼差し、何か過去に因縁のありそうな頬の十字傷、鍛えられた筋骨隆々とした肉体。幾多の戦いを生き抜いてきた、強くて忠誠心の高い戦士、そんな印象を受けます。

そして、実際ゲームをプレイしてみると、そのデザインから受ける印象が、実際のオグマの性質と合致しています。オグマというキャラクターを表すのに適した素晴らしいデザインだと思います。

最初から最後まで頼れる戦闘力

オグマはゲーム内で戦力としてとても頼りになるユニットでした。高い攻撃力と防御力を持つため、序盤から仲間になるキャラクターでありながら、最後まで活躍してくれました。

タリス軍の「隊長」という肩書からマジサジバーツよりも強そうな印象を受け、初見プレイの私としてもオグマを優先してスタメンに残す動機になりました。また、歩行剣士枠としての競合がナバールくらいしかいないので、競合の少なさとしてもスタメンとして残りやすいと思います。実際スタメンに残して後悔しないキャラクターでした。もし、開発側がオグマをスタメンに残したくなるよう設計しているのだとしたら、素晴らしいと誘導だと思います。1部でオグマを起用している経験があると、2部のストーリーを楽しみやすくもなりますしね。

2部ストーリーでの活躍からわかるオグマのカリスマ性

オグマと言えば、2部1章でのロレンスに加勢するシーンですよね。1部でオグマに愛着が湧いていたのもあり、オグマが登場したときはテンション爆上がりでした。やはり知ってるキャラクターが再登場するのは嬉しいものです。

そして、ユミナがロレンスのもとを離れずに困っていると、ラングを葬ってユミナらを守るというソリューションを提案する大胆さ。

結局オグマと入れ違いでユベロ、ユミナはラングに連れ去られてしまいますが、この後、オグマはユベロ、ユミナを見事救出して、マルス軍と合流します。たった1人で敵の本拠地に乗り込んで子供2人を救出するってすごすぎでしょ。

4章では、シリウスの正体を察したであろうオグマとシリウスとのやりとりがあります。

シリウスの巧みな変装を瞬時に見抜くオグマの鋭い洞察力。そして、その正体に気づいた上で余計な詮索は一切しません。ただただ、シリウスにとっても望みであろうグルニアを守るための戦いに協力を求めるオグマ。

  • 巧みな変装をも見抜く鋭い洞察力
  • シリウスの特別な事情への配慮
  • シリウスの望みを叶えつつ、それを自分の目的にも利用する合理性
いや、プレイヤーからするとシリウスの正体はバレバレなんですけど、きっとゲームの設定上は、すぐには誰かは分からない変装になっているんでしょう。少なくとも私はそう思うようにしてます。

オグマは誠実で忠誠心や洞察力が高く、その強さに加えて、相手の気持ちを考えることができる人物です。マルスとは方向性は違いますが、マルスにも劣らない高いカリスマ性を持つ男だとストーリー上の会話から感じました。オグマかっけえ。

オグマの過去に秘められたストーリー

オグマはタリス王に忠実です。1部ではタリス王の命令でマルス軍に加勢し、2部でもタリス王の命令でロレンスを助けます。

なぜこんなにもタリス王に忠実なのか。それは2部で昔オグマと同じ剣闘士だったサムトーを仲間にするときに、彼から語られます。

かつて、剣闘士時代、オグマはその過酷な生活からサムトーら剣闘士仲間を逃がし、自身だけが身代わりに捕まってしまいます。当然、オグマは処刑されるはずでした。広場に引き出され、鞭で打たれて息絶えようとしているところ、たまたま通りかかった幼いシーダが泣きながらオグマをかばい、助けました。

このストーリーを聞いて、オグマのタリス王への忠誠心の高さの源を理解でき、オグマというキャラクターの性質に説得力が増しました。

そして、シーダがオグマを助けたときの描写がエンディングで流れます。これには感動しました。シーダ姫、まさに命がけのかばい方ですね。

1部エンディングでは思う人がいるらしい後日談が語られますが、これはきっとシーダのことなんでしょうね。せつない。

そして、2部エンディングではオグマは姿を消してしまいます。

もうこれからはマルスがシーダ姫を守ってくれる。オグマにとって生きる意味だったシーダがいなくなったタリス、そこにとどまる意味はもうないですね。オグマにはこの後、世界のどこかで新たな幸せを見つけていてほしいところです。

報われない想い、決してそれを追いかけようとしない姿勢、そんなところもまたオグマの魅力の1つです。

ジェイガン

FEシリーズでお馴染みのお助けパラディン枠、もといジェイガン枠の元祖、その名もジェイガン。序盤は強いが、知らずに器用してしまうと、他のキャラのレベルが上がらず、ジェイガンも成長せず、後々詰むことになるという、ある意味初見殺しのキャラ。

FEシリーズをいくつか遊んでいる私も当然それは認知していたので、ジェイガンからは銀の槍をいただいて、後ろから見守る役目に徹していただきました。

そんな存在感の薄いジェイガンでしたが、2部でとんでもないイケメンぶりを発揮します。

2部では病に倒れたモロドフに代わり、マルス軍の軍師役となります。

2部開始早々、ラングの傍若無人っぷりにマルスが反抗しそうになりますが、ラングへの反抗がアカネイアへの反抗になり、アリティアが危険にさらされることを察したジェイガンはマルスに我慢するよう言います。

3章では、マルス王子がついに我慢できず、ラングに反抗の意思を表します。

今まで保守的だったジェイガンがここでマルスを止めに入るのかと思いきや、マルスに加勢し、それどころかラングに剣を取れと決闘を申し込む形で威嚇します。


このジェイガンにはかっこよすぎて痺れました。

ラングは突然のジェイガンの威圧に耐えかねて逃亡します。

主君を正しい方向に導き、主君がそれと違う方向に進む意思を見せれば、その意思を尊重し、身を挺して主君を守り、支える。軍師ジェイガン、かっこよすぎる。

プレイヤー視点でも傍若無人なラングには腹立っていたので、ジェイガンのこの台詞はタイミング的にもとてもスカッとしました。ジェイガンはこの1シーンだけで、好感度がとんでもなく上がったキャラでした。

ミシェイル

私の中で、ミシェイルは物語の最初と最後で最も大きく印象が変わったキャラクターです。

ミシェイルの情報を初めて聞けるのは1部4章、マチスからでした。ミシェイルがレナにプロポーズをして断られたという話が聞けます。

  • プロポーズを断られた腹いせに兄のマチスを軍に送り込んだ(実はマチスの勘違いらしいですが)
  • レナはミシェイルが嫌い
これらの話から、ミシェイルはきっと自己中心的で横暴な王子なんだろうなぁと思ってました。

次にミシェイルの話が聞けるのは8章、ミネルバからです。


ん?ミシェイルが父を殺した?いや、ドルーア帝国が殺したってこと?

さすがに自分の父を殺したりはしないだろうと思い、きっとマケドニアが加担してるドルーア帝国が父の仇なんだろうと思う事にしました。

そして、17章、いよいよミシェイルと対峙します。そこでガトーから衝撃の発言が。

えええ!?やっぱミシェイルは自分の父を殺したの!?しかもガーネフに騙されて自分の野望のために殺したって、それもう聖戦の系譜でマンフロイにそそのかされて父を殺したシェガールと同じじゃん!

私の中でミシェイルはシャガール並みのクソ野郎というレッテルがここで貼られ、躊躇なく彼をマリクのエクスカリバーで仕留めました。

ただ、その後冷静になり、ミシェイルがドルーアに加担したことが間接的に父の死に繋がったというのを、ガトーが父を殺した罪と表現した可能性もあるか、と思い直しました。結局、本当に父を殺していたんですけどね。

しかし、2部でミシェイルの印象がまたガラッと変わる訳です。

まず3章、1部で仕留めたはずのミシェイルが突然現れます。

ミシェイル生きてたのか!

ミシェイルは反乱軍にさらわれ、殺される寸前だったミネルバを連れ去ります。

もしかしてミシェイル、ミネルバを助けてくれた?それともミネルバを利用して何か企んでる?

この時、ミシェイルの目的がなんなのかは分かりませんでした。自分の手で殺すことが目的なら、すぐに殺せばいいはず。連れ去るということは、少なくとも死にかけのミネルバを一時的には生かそうとする意思はあるのだろうなと考えました。

そして、10章、カダインにてミシェイルが再び現れます。傲慢なアカネイアを恨んでいた事、ドルーアを倒す算段があったこと、父を殺したのも単純な理由ではないこと。そして、ミシェイルがマケドニアで討たれた後、生きることができた理由が語られます。


マリアはマケドニアがドルーアと同盟を結ぶために人質として引き渡され、4年もの多感な時期を人質として過ごすことになりました。兄を恨んでもおかしくないはずなのに、死にかけた兄を密かに助け出し、介抱し、兄のために祈り、涙しました。その無垢な愛情はミシェイルの心境に大きな変化をもたらします。

ミシェイルは今まで敵対していたマルスの実力を認め、ミネルバをマルス軍に預けます。そして、マリアを助け出そうとガーネフにたった一人で立ち向かいます。結果的にマリア救出は失敗してしまい、ミシェイルは死亡してしまいますが、ガーネフからマフーを破る唯一の手段であるスターライトを奪い、マルスに渡すことで、その後のマリア救出に大きく貢献しました。

ミネルバは助けたマリアにミシェイルの死をすぐには伝えませんでした。マリアがショックで動けなくならないように配慮したのかもしれません。その嘘に安堵するマリアを見てミネルバもつらかったことでしょう。

エンディングでマリアがミシェイルを助けた時のイラストが流れますが、非常に尊かったです。

後にデザイナーズノートの記事を読み、ミシェイルが父を殺したのも、ミシェイルを取り巻く状況からしてやむを得なかった事情があったことも想像できました。

マリアの気持ちを思うと、ミシェイルには生きてほしかったです。実は初見ではエンディングのイラストを、2部の最後でぎりぎり命をつなぎとめたミシェイルが意識を取り戻すことをマリアが祈ってる様子だと勘違いしました。そのくらいには私もミシェイルの生存を願っていました。

しかし、ミシェイルが助からなかったからこそ、兄を想うマリアの気持ち、そんなマリアを想うミネルバの気持ちを考えさせられたのは確かなので、物語としてはこれでよかったのかなと思います。

マップ攻略で活躍したユニット

続いて、マップ攻略において活躍してくれたキャラを簡単に紹介していきます。

1部で活躍したユニット

以下は私が1部をクリアした時の勝利数Tier表です。

マルス

マルスは言わずもがなの強さ。ブーツで移動力も上げて切り込み隊長として軍を引っ張ってくれました。

マリク

マリクは最初からエクスカリバーを持っており、序盤からかなり強かったです。飛行特効持ちの魔法は偉大。エルレーンが嫉妬するのも頷けます。飛行特効無効のミシェイルもワンパンでした。

あと、スターライトもマリクに持たせました。

仲間になってから1部の最後の最後まで大活躍のユニットでした。

シーダ

シーダは飛行枠として最初から最後までずっと活躍してくれました。

ペガサスナイトからドラゴンナイトに変えるのは抵抗がありましたが、ドラゴンナイトシーダにグラディウスを持たせたら、鬼に金棒な強さでした。苦手な力もパワーリングで補ってステータスも耐久以外はほぼカンスト状態でした。

カシム

そしてなんだかんだ使ってたカシム。

キャラとしては特別好きでもなかったんですが、結局最後まで弓枠で活躍してくれました。オリオンのやを持ってるのになぜクラスチェンジさせなかったのかは不明です(多分クラスチェンジさせようと思って持たせたものの、そのまま忘れ去られた)。間違いなくシーダが渡した金銭以上の働きをしてくれたので、全く詐欺師ではなかったです。なんならマルス軍でただ飯食って全く戦闘に参加しなかったマチスの方が...

バーツ

あとは、いざという時に頼りになったバーツ。

本人も強かったんですが、デビルアクスのチート級の強さに何度も助けられました。巻き戻しできるSwitchだとデビルアクスを100%成功させることができてしまうのですが、どうしても困ったときは遠慮なく活用させていただきました。発売してから30年後に最強の斧になってるなんて当時の開発者は少しも思ってなかったでしょうね。

2部で活躍したユニット

以下は私が2部をクリアした時の勝利数Tier表です。

フィーナ

フィーナは言わずもがな踊り子として最後まで重宝しました。2部ではブーツをフィーナにあげました。他のFEシリーズでも同様かと思いますが、移動力の高い踊り子はすごく便利です。そして地味に戦闘力も高いという。デザイナーズノートによると、フィーナが使えるレイピアは王族が学ぶ剣であるという話が書かれています。だからステータスも高い訳ですね。フィーナの生い立ち、とても気になります。

余談ですが、紋章の謎では「おどる」ではなく「おうえん」だったのも趣深さを感じました。今では別々のスキルである「踊る」と「応援」、昔は同じ意味だったんですね。

ライアン

2部で一番思い出に残ってるのはライアン君。1章で仲間になったとき、どう見ても大器晩成の顔をしていたので、育てたら強くなるだろうと思って頑張って育てていました。しかし、8章であまりの弱さに戦いについていけなくなりました。

ちょうど弓枠のジョルジュが仲間になったのもあり、一旦育成を諦めてパーティーから除外しました。

しかし、その後、オリオンのやが余ってたのもあり、介護してクラスチェンジまでさせてみたところ、ステータスが爆上がりして、その後はずっと大活躍でした。

うーん、いいステータスしてますねぇ。

ユベロ

ユベロはとても強いとは言えないユニットだったんですが、やはり大器晩成の顔をしていたのと、貴重な魔法枠ということで頑張って育てました。

しかし、一向に強くなる気配がなく、終盤までずっと弱いままでした。仕方なくドーピングで強化してなんとか最後まで戦い切りましたが、子供だからと言って頑張って育てたら強くなるとは限らないということを学びました...

とはいえ、序盤から使える魔法枠としては重宝しましたし、ドーピングアイテムのおかげでどんなキャラでも一線で戦えるようになるゲームシステムのすばらしさを体感できたのはよかったです。

セシル

セシルは新米兵士ながら序盤から強い騎馬ユニットでした。後半、やや戦闘は厳しくなったものの、機動力の高い騎馬枠としては重宝する場面が多く、最初から最後まで起用し続けたユニットでした。

パオラ

最後にパオラ。

室内マップのキャプチャしか残ってなかったですが、とにかく仲間になってから最後までずっと強かった。3章で仲間になったとき、パオラの周りに増援が湧いていて、マルスらがパオラのいるところまでたどり着くまで増援を倒し続けていたらなんとLV14まで成長し、序盤から強ユニットに。終盤、ステータスの伸びはなかったものの、飛行の機動力とその圧倒的なレベルの高さで敵を倒し続け、最終的にはドラゴンナイトLV19まで成長しました。私の2部マルス軍の中では最強ユニットだったと言っても過言ではないです。

ゲーム内で語られない重要な情報が多すぎる問題

ここまでで何度も出てきたデザイナーズノートですが、紋章の謎においては、これ以外の追加の情報源として小説やコミックが出版されています。それぞれはゲームとはまた違う設定だったりするものの、本編では語られなかったバックストーリーを想像するための材料を多分に含んでいて、ゲームを遊んだだけのプレイヤーと、それらの外部の出版物にも目を通したプレイヤーとで、物語や各キャラクターの解像度が大きく変わってきます。

例えば、カシムの項目でも書きましたが、ゲームをプレイしただけだと、カシムは単に詐欺師という印象で終わってしまいますが、デザイナーズノートに書かれているバックストーリーを読むと、詐欺に手を染めていたのは悲しい理由があったことが分かります。もちろん、これはゲーム上の設定とはまた別の設定であると解釈もできるのですが、本編では語られていない部分の話ではあるので、そのようなストーリーがあった可能性を否定することはできません。

1部のミシェイルについてもゲームをプレイしただけだと傲慢で愚かな選択をした人間に思えてしまいますが、デザイナーズノートを読むと、そうではなかったやむを得ない事情が想像できるようになります。

紋章の謎はストーリーが面白かったので、クリア後に空白部分を考察するのも私にとって1つの楽しみでした。しかし、考察材料が揃っていないと、満足のいく考察はできません。今では入手困難な出版物もあり、私のようにゲーム発売から20年以上経ってから新しくファンになった人間にとっては、中々に考察を楽しむハードルが高い状況です。

ゲーム内でほとんどすべてが語られる昨今のFEでは、考察時に根拠を容易に示すことができます。せめてキャラクターの印象を左右するような重要な情報については、すべてゲーム内に収められている方が考察がしやすくていいなと思いました。プレイヤー間で SNS などで紋章の謎について語り合う時にも、情報源が分断されていることによる情報格差が円滑なやりとりの障壁となりえます。

もちろん、設定の後付けが当たり前だったり、当時のゲームの容量の都合、ゲーム以外の別媒体によるメディア展開が盛んだったという時代背景もあり、仕方がないことだとは理解しています。

手頃で遊びやすいマップ

紋章の謎を始めてまず感じたこと、それは凄まじくマップが遊びやすいということ。

聖戦の系譜を遊んだ直後だからというのもあると思いますが、1章の手頃なマップが感動するほど遊びやすい。

重装で敵を受ける、そして、その他のユニットでとどめをさす。

チュートリアルを兼ねているマップというのもあるんでしょうが、FEの基本的な戦略を全体を見渡せる手頃なマップで実践できます。

聖戦の系譜のマップでは味わえない心地よさがあります。

これは最初のマップだけが例外という訳ではなく、全体を通して、手頃な遊びやすさはありました。

プレイヤーは「マップの情報をインプット」して、その情報を基に「ユニットの行動を選択」します。この2つの行程のうち、楽しいのは後者、最適なユニットの行動を考える過程です。マップの視認しやすさは、最適なユニットの行動を考える楽しさに直結します。

聖戦の系譜のマップは全体の視認性を犠牲にして別の面白さを見出しているので、それはそれで違った良さがあります。しかしやはり、この手のゲームにおいて、全体を視認しやすいというのは重要な要素であると感じました。

ほとんどのマップでボスが弱かった

紋章の謎の各マップのボスにはほとんど苦戦した記憶がありません。

聖戦の系譜だとそれなりに苦戦した記憶があるんですが、それは大体ボスが2距離射程の武器も持っていて、1距離射程のボスはほとんどいなかったからだと思います。間接攻撃で反撃されないと一方的にチクチク攻撃できてしまうし、特に城にいるボスは城から動かないので、殴りたい放題。紋章の謎のボスがあっさり倒せすぎて手ごたえがなかったという反省から、聖戦の系譜では間接攻撃に対して反撃するボスが当たり前になったのかもしれませんね。

ただし、1部16章のカミュだけはめちゃくちゃに強かったです。カミュに触れると死が待っていて、誰も近づけなくなってしまった図が以下です。

カミュ1人を倒すのに仲間の犠牲を覚悟しなければならないレベルでした。

あと、さすがに2部のハーディンは強かったです。

ハーディンは取り巻きの数が異常に多かったという点も苦戦したポイントの1つですが、やはりグラディウスは強い。

負けたら死!とてもスリリングな闘技場

紋章の謎の闘技場は、負けたらそのキャラクターは死亡扱いになります。1ターンごとの状況を見つつ、Bボタンで対戦の続行をキャンセルできます。キャンセル可能な時間は限られているため、短い時間で死ぬか生きるかの重い選択を迫られます。非常にハイリスクでスリリングなギャンブルを味わうことができます。特に相手の必殺が出てしまうと、勝てそうな敵でも負けてしまうこともあり、中々勝ちを確信できないのもスリリングです。

聖戦の系譜では、闘技場で負けてもHPが1の状態になるだけで死亡扱いにはならなかったので、聖戦の闘技場がずいぶん優しく感じました。

初見ではすごく思い切った仕様だなぁと思いましたが、SwitchのVC版では巻き戻しやどこでもセーブ機能があるので、死亡したら簡単にやり直すことができます。この機能のおかげで現代のFEに慣れたプレイヤーにとってはちょうど良いお金稼ぎポイントになります。

当時スーファミでプレイしてた人は闘技場で随分緊張したんじゃないでしょうか。私だったら闘技場は避けてたと思います。

再移動がないのは一長一短

聖戦の系譜ではユニットの再移動がありましたが、紋章の謎ではありませんでした。

再移動を利用することで攻撃後に安全な場所に戻る戦い方、いわゆるヒットアンドアウェイ戦法が可能になります。ヒットアンドアウェイができると敵を一方的に攻撃することができます。敵視点では成すすべなし、理不尽な攻撃を受けることになります。逆にプレイヤー視点では敵に理不尽を押し付ける形になるので、それが快感につながることもあれば、難易度低下による退屈さにつながることもあります。

紋章の謎にこの要素がないことで、最近のFEでは当たり前のようになっている再移動について色々と考えさせられました。紋章の謎の感想からは少し脱線しますが、再移動について考えたことを書き連ねます。

再移動の長所

再移動の長所としては以下が挙げられます。

  • バトルでの選択肢が広がり、戦略性が高まる
  • マップの難易度に大きな濃淡が生まれる
  • ユニットの個性を強調できる

再移動があることにより、プレイヤーの選択肢は増えることになります。同じマップでも再移動なし、再移動ありでは、再移動ありの方が当然攻略の難易度は下がります。(FEH のクイズマップのように再移動があることを前提として、答えが1つしかない設計になっていると、逆に選択肢が増えた分だけ難易度が上がりますが)

逆にマップを設計する際、敵ユニットの配置や能力を再移動を前提としたものとすることで、再移動なしでは超難関、再移動ありなら程よい難易度のマップを作ることもできます。

つまり、ゲーム制作側からすれば、マップ攻略の難易度に濃淡を作りやすくなります。

例えば、以下のような感じでゲーム進行に合わせて難易度の幅をプレイヤーに楽しんでもらえるよう調整が可能です。

  1. 再移動を制限し、シンプルな攻略を楽しんでもらう、基本覚えてもらう
  2. 再移動を解放し、一方的に敵を倒せる快感を体験してもらう
  3. 再移動ありでも簡単に攻略ができないマップを用意し、深く考えることを楽しんでもらう

また、再移動ができるユニットとできないユニットで個性を強調することができます。FEのようにキャラクター数が多いゲームだとキャラクターに個性を持たせる材料にもなります。FEシリーズでは再移動もできて地形も無視できる飛行ユニットが優遇されがちですが、弓には弱いという弱点を用意することでうまくバランスを取っていますよね。

このように、再移動はマップの難易度、ユニットの個性の濃淡をつける材料としては重要な役割を果たしている要素と言えます。

再移動の短所

再移動の短所は、ほぼほぼ長所の裏返しになるんですが、以下が挙げられます。

  • バランス調整の難しさが増す
  • 選択肢が増えることによるテンポの悪さ
  • ユニット間の格差

制作側のデメリットとして、バランス調整の難易度が上がることがあります。再移動を前提として設計する場合、再移動を使わない場合でもクリアできるようにする必要がありますし、幅広い再移動の活用方法の選択肢分だけ、バトルマップで発生する分岐は増え、調整はより難しくなります。

プレイヤー側のデメリットとして、プレイヤーは各ターンで複雑な再配置を考慮する必要が出てくるため、1ターンが長くなり、ゲーム進行を遅く感じさせる要因となり得ることが挙げられます。本来は再移動せずに敵の攻撃を受けることができそうな場面でも、ノーダメージで確実性の高い退避の選択肢が与えられると、そちらを選択したくなるものです。もしくは、攻撃後に再移動して退避したものの、後続のユニットの攻撃で敵を撃破できてしまったので、先に攻撃したユニットは無駄に後退してしまっただけの状況になったということもエムブレマーなら経験があるのではないかと思います。

どのマスに再移動しようか、再移動した後に他のユニットをどう配置しようかなんて考えてるとあっという間に時間が過ぎていきますよね。もちろん、それが楽しい時間であるならば全然デメリットではありません。しかし、攻略時間が長すぎるということは人によってはネガティブ要素になり、選択肢が増えることが逆にマイナスに作用するケースもあり得るということは、利益を出さなければならない作り手側は考える必要があります。

また、ユニットの個性を強調できるという長所ですが、これがしばしばユニット間の格差に繋がることがあります。

ヒットアンドアウェイができることはかなりの強みです。再移動を持っているユニットは持っていないユニットに比べて使い易さの面で大分有利になります。実際、聖戦の系譜では騎馬、飛行ユニットの再移動の恩恵を感じたプレイヤーは多いのではないかと思います。特に飛行ユニットは地形無視できる性質もあり、過労死するんじゃないかというくらい働かせたプレイヤーが多いんではないかと。逆に再移動できないユニットは戦闘力の面で優遇させたり、別の部分で再移動のないマイナス部分を補う必要があります。このバランス調整に失敗するとユニットに格差が生まれ、再移動を持つユニットばかりが使われるという状況になってしまいます。ユニットに個性を持たせつつ、ユニット間の格差を感じないような調整を行う難しさが発生するという点は、制作サイドの1つのデメリットであると言えます。

再移動はFEシリーズに必要か?

結論として、私個人としてはFEシリーズに再移動はあった方がいいと思います。1プレイヤーとしては、再移動は非常に強力かつ戦闘を面白くする魅力的な要素だと感じます。紋章の謎においても、再移動ほしいなぁと思うことは多々ありました。

FEシリーズの再移動は一部を除いて、再移動可能なマス数が移動時のマス数が多いほど減るように制約が課せられています。これにより、うまく配置を考えて活用したときだけ、攻撃後に安全マスに退避できるような仕様になっています。(昨今の FEH においてはそんな制約もなくなってきてますが)

また、再移動ができるユニットに弱点を持たせたり、再移動ができないユニットの他の強みを強調することでうまくバランスを取っています。もしくは、FEエンゲージだと紋章士の能力のおかげで全員が再移動できるようになっています。このような制作側の調整のおかげでプレイヤー視点の短所はほぼほぼ解消されているように思います。

つまり、プレイヤー視点だとほぼほぼメリットしかない。制作側の調整に対する労力が増すというデメリットはありますが、その労力をかけて作られたことに感謝しつつ、今後も再移動がもたらす深い戦略性を1プレイヤーとして楽しませていただけたらと思います。

戦闘の結果がやり直しすると変わるのでズルできる

聖戦の系譜の感想でも書いたのですが、紋章の謎でもどこでもセーブや巻き戻し機能のおかげで昨今のFE作品に慣れているプレイヤーでも快適に遊ぶことができました。どこでもセーブや巻き戻し機能についての説明は割愛しますが、気になる方は聖戦の系譜の初見プレイ感想を参照してください。

紋章の謎でこれらの機能が特に役立った点としては、カミュ、ハーディンといった強すぎるボスを初見でノーデス攻略できた点です。正直、彼らがあまりに強すぎて、全員生還は諦めないといけないような状況に追い込まれたんですが、紋章の謎の戦闘時の必殺や命中の乱数に「時間」が含まれていそうなのもあって、やり直すと結果が変わるのが幸いして、なんとか攻撃を命中させて乗り切ることができました。

エムブレマーとして、そんなズルするのはどうなのというのもあるんですが、誰も死なせたくない、ボスのところまで時間をかけて進めた盤面をまた最初からやり直したくないという気持ちが勝ってしまいました。

聖戦の系譜以降は単純なやり直しでは同じ結果になるように対策がされていたので、紋章の謎までしか使えないズルですが、結局、聖戦の系譜でも適当に移動や行動順を調整して乱数を変えるみたいな回りくどい方法で戦闘結果を変えるズルをしていたので、その手間が省略されただけといえば、それだけです。聖戦の系譜どころか、エンゲージでもやり直すときは同じく行動順を変えたりして戦闘結果の乱数、レベルアップ時の成長の乱数を調整したりしたのは、私だけではないはず。

紋章の謎のように簡単に戦闘結果が変わる仕様も、これはこれで手軽に遊べて、行き詰った時の救済措置としては悪くないと思いました。

遊びにくかった点

いずれも後のシリーズでは改善されている項目なので、特に言及する必要もないと思いますが、一応遊びにくかった点を書き連ねておきます。

HP最大の味方に杖を使えてしまう

紋章の謎では、HPが最大で回復できない味方に対しても杖が使えてしまいます。これにより、HPが減ってる味方を回復しようとして、HPが最大の味方を間違って回復させてしまう事故がよく起きました。特に回復したい味方と、HP最大の味方が隣接してるケースではミスしやすかったです。

ただ、この仕様のおかげで味方がダメージを負ってなくても杖キャラの経験値稼ぎができて便利だったという側面もあります。

しかし、それ以上に回復させたい味方を回復させる障害となるデメリットが大きかったため、やはり杖は傷ついた味方に対してだけ使える方がいいと思いました。

初期配置を選ぶのが難しい上に初期配置が重要なマップがある

最近のFE作品ではマップ攻略の準備の段階で初期配置を設定することができます。聖戦の系譜では全員城から出撃するという特殊な仕様のため、初期配置という概念がありませんでした。

紋章の謎で初期配置を選ぶには、キャラクターの並び順を制御するしか方法がありません。そして、並び順を思い通りに変更するには、一旦出撃メンバーから除外して、出撃メンバー選択画面を開きなおして、再度出撃メンバーを選ぶ必要がありました。そして、どの順番がどの配置になるかは出撃するまで分からないため、出撃してみて、違ったら巻き戻す(昔だったらリセットする)必要があります。そもそも、並び順で配置が変わることについて、ゲーム中で説明がないため、私は2部の途中まで配置を変更できることに気が付きませんでした。

つまり、初期配置を並び順で変更できるものの、それをプレイヤーに遊びの一要素としてさせることを意識した作りになっていないということです。

初期配置がゲーム性に大きく関連しなければ別にそれでもいいと思うのですが、紋章の謎には並び順が重要になるマップも用意されています。

例えば、1部20章の最終マップはパーティーが複数の部屋に分断されますが、このパーティーが並び順によって変わります。

鈍感だった私は、このときまだ並び順で配置を変えられることに気づいていなかったため、分断される上に自由に配置を選べないことに理不尽さを感じました。

また、2部2章ではウォレンを仲間にしつつ、レディソードを持った盗賊を倒すのが中々シビアで、初期配置をうまく設定しないと厳しいです。

2部5章ではリカードをどうしても仲間にすることができなくて、攻略を見たのですが、ジュリアンを編成の一番後ろにして、1ターン目に話しかけると書いてありました。編成順の制御が必須であることに、そんなの初見で気づけるわけないじゃん...と思いました。

とはいえ、これは時代の違いによるもので仕方ないようにも感じます。

最近は面白いゲームで溢れているため、同じゲームを何度も遊ばない人が多いと思います。昨今のFEは初見プレイの段階で最大限楽しめるよう、ゲーム内で遊びに関わる操作については説明がされますし、知らされていないことを要求されるような理不尽な体験が発生しないような配慮が感じられます。

それに対して昔は買ったゲームは何度も繰り返し遊ぶのが普通でした。ゲーム中で説明が少ないのは、容量の都合もあったのではないかと思いますが、友達との会話の中で情報収集したり、ゲームとは別の媒体から情報を得るのが普通だったという背景もありそうです。

そう考えればそんなものかなとは思いますが、最近のFEに慣れてしまっていると初見プレイにおいて多少なりと理不尽さを感じたポイントではありました。

キャラクターの移動マスを選択しづらい

最近のFE作品では、というか聖戦の系譜の時点でそうなっていたと思いますが、移動させたいキャラクターが到達できない地形も移動マス選択時においてはカーソルを移動させることはできます。

しかし、紋章の謎では、キャラクターの移動可能範囲内しかカーソルを移動できません。

この仕様により、壁の向こう側にキャラクターを迂回させて移動したいときにも、壁を越えられないから、キャラクターが移動するマスにそってわざわざカーソルを迂回してマスを選択しないといけません。

また、移動マスを選ぶときに移動範囲の外側の敵だったり、マスの情報を確認できないです。一度キャラクターの選択を解除しないといけないのが手間に感じました。

LRボタンでステータス画面の切り替えができない

聖戦の系譜ではできたと思いますが、紋章の謎ではステータス画面でLRボタンを押してもキャラクターが切り替わらないため、キャラクターのステータス確認をするためには、一度ステータス画面を閉じてキャラクターを選択し直す必要がありました。

これは地味にストレスでした。まぁとはいえ後発の作品では改善され、今では当たり前になってるので特に問題はないと思います。

バトル演出省略時に獲得経験値等が非表示になる

私は重要なところ以外はバトル演出を省略して遊んでいたんですが、紋章の謎で演出を省略すると、以下の重要な情報が表示されなくなり、かなり不便に感じました。

  • 獲得経験値
  • レベルアップ時のステータス上昇
  • 入手アイテム

これらが分からないので、演出の省略をしないで進めようか、いや、でも省略しないと凄く時間がかかってしまうしなぁという葛藤が常にありました。

ただ、冷静に考えれば、今では当たり前となっている演出省略設定がこの時点のFE作品であるのは凄いですよね。ずっと受け継がれているということは、プレイヤーにとって需要の高い設定だったということなので、初期の作品の時点でそれに気づけたのは凄いと思います。

行動済みユニットの移動範囲が確認できない

紋章の謎では、ユニットの行動を終了させると、ユニットを選択しても移動可能範囲が表示されません。

行動終了させた後、あれ?このユニットってどこまで移動できたっけ?次のターン、あそこのマスにたどり着けるかな?みたいなときに移動マス数を数えないといけなくなり不便でした。

攻撃可能範囲が表示されないため、シューターの攻撃範囲が分からない

紋章の謎では移動可能範囲は表示されますが、昨今のFEのように追加で攻撃可能範囲は表示されません。

この仕様により、長射程のシューターの攻撃範囲が全く分かりませんでした。

特に飛行特効を持つシューターは、飛行ユニットで攻撃を受けたくないので、どうしても攻撃範囲を知りたくなりました。シューターがいるマップはそういう意味でも厄介なマップでした。

「マップを見る」で敵の移動範囲が確認できない

バトル開始前の準備画面の「マップを見る」でマップを確認した際、敵の情報を確認することができるんですが、移動範囲が確認できないのがすごく不便でした。強さも見たいけど、どの範囲まで攻撃できるのかはかなり重要な情報なので知りたいのに、移動マス数から数えるしか手段がないのが残念でした。

ただ、これについては以降の作品では改善されているので問題ないと思います。

終わりに

紋章の謎は昔の作品であるにも関わらず、正直ここまで楽しむことができるとは思いませんでした。1部2部合わせて100時間くらいかかりましたが、最後までストーリーもマップ攻略も楽しむことができました。

FEシリーズがここまで続いた理由もよくわかりました。ファミコン版は未プレイですが、スーファミ版の紋章の謎、聖戦の系譜が現代のFEに慣れた人間が遊んでも十分楽しめるくらい、いや、現代向けに調整された昨今のFE作品にも全く引けを取らない面白さであり、当時、多くのFEファンを獲得したのもよくわかりました。

私はこれから Echoes を 3ds で遊ぶつもりです。紋章の謎と繋がりのある作品ということで非常に楽しみです。SwitchのVC版リリース順を飛ばされてしまってる外伝やトラキア776も早く Switch で遊べるようになるといいですよね。

長くなってしまいましたが、最後までつたない文章を読んでいただきありがとうございました。


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