この記事はユニットの「強さ」の考え方を語るだけの記事です。
私はブログでFEHのユニットの「強さ」を扱う時は主観的な評価にならないよういつも注意しています。「強さ」を正しく評価することはとても難しいことですが、とても危うい評価基準で簡単に強い、弱いを判断してまっている人もいるのではないかと思います。そこで「強さ」の測り方についての個人的な見解を書き出してみる事にしました。
※誤解ないよう補足ですが、この記事は「ユニットの強さを簡単に語るものじゃない」というような批判的な趣旨のものではなく、ユニットの強さの客観的評価の難しさと、解釈の間違い安さについて語る記事です
- 強さの意味は多岐に渡る
- 限界突破数が強さの尺度として誤解されがち
- 限界突破数が強さの尺度として誤解されやすい背景
- 限界突破すると弱くなるケースもある
- 正しく強さを評価するにはどうすればいいのか
- 総合評価なんてものは信じてはいけない
- 他人の「強い」が自分にあてはまるとは限らない
- まとめ
強さの意味は多岐に渡る
一概に「強さ」と言っても、その意味は多岐に渡ります。
- ステータス面の強さ
- ステータスがより高い
- 査定面の強さ
- 闘技場やミョルニル、飛空城でより高いスコアを獲得できる
- 戦闘面での強さ
- より高いダメージを出せる
- 多くの敵を倒せる
- より耐久できる
- より味方を強化できる
- 飛空城の資源回収面での強さ
- 飛空城でより簡単に資源回収できる
- イラスト面の強さ
- イラストが好み
ここに挙げたもの以外にも、目的の数だけそれを達成するための「強さ」のベクトルがあります。しかし、これらの異なる意味の「強さ」が混同されて使われてしまっている場面を見かけることがあります。お互いに違う意味で解釈している「強さ」について語り合っても、相手の言っていることが理解できなくてコミュニケーションは成立しません。
限界突破数が強さの尺度として誤解されがち
ユニットの査定がスコアに直結する闘技場やミョルニル、もしくは飛空城の神階英雄においては、限界突破数の高さは「スコアを上げる」という面で強さの尺度のひとつとなります。しかし、伝承英雄戦など、通常ユニットの限界突破数がスコアに直結しないコンテンツでは強さの絶対的な尺度として扱うのは正しくありません。「10凸が絶対的に強い」というのは闘技場やミョルニル、もしくは飛空城の神階英雄のスコア面においてだけの話で、それ以外のコンテンツやユニットにおいては適用できません。10凸はステータスが上がるからステータス面で強いんじゃないの?
その通りです。同じスキル構成の同じ英雄同士の比較であれば、無凸と10凸ならほとんどの場合で10凸の方が強いです。(HPが低い方が有利な状況を生みやすいなど、無凸の方が強い例外はあります)
しかし、これを違うスキルであったり、違う英雄同士で比較する事に何の意味もありません。FEHは1つの数値の高さの殴り合いのゲームではありません。各ユニットごとにコンセプトや基礎ステータスが全く違うので、限界突破数を比較しても強さは評価できません。
限界突破数が強さの尺度として誤解されやすい背景
これは私の推測ですが、限界突破数が強さの尺度として誤解されやすい背景は以下と推測します。
限界突破の説明に「強さの目安」と書いてある
ゲームでは限界突破の説明に「強さの目安」と書いてあります。これは間違っていないですが、ここでいう強さはこの英雄同士のステータスの高さを比較する上でしか意味のない強さです。他の英雄と比較する指標にはならないですが、比較できる強さであると誤解を与えてしまっているように思います。限界突破数が強さの指標である闘技場が長い間メインコンテンツだったこと
飛空城が登場するまでの長い間、FEHは闘技場がPvPのメインコンテンツでした。
闘技場は限界突破数がそのままスコアに反映されるので、あからさまな pay to win コンテンツです。上位を目指すのであれば10凸が前提条件となります。
長い間、闘技場がユニットの強さを測るバロメーターだったことが、限界突破していないユニットは弱い、実用性がないというような誤解を生む要因になっているのではないかと思います。
数値以外の強さを人間が正しく判断するのが難しいこと
多岐に渡るバトルにおけるユニットの強さを人間が正確に測るのは非常に難しいです。
- 様々な状況における殲滅力、耐久力、機動力、補助性能..
- 敵AIの行動計算
FEHはマップに複数のユニットを配置し、それらが互いに干渉しあうため、「様々な状況」が生まれます。マップに配置されるユニットの組み合わせも数えきれないほど多くあります。この数えきれないバリエーションの中で評価すべきケースを絞り込むだけですら、正しく行うのは難しいでしょう。例えば、私はユニットの殲滅力や耐久力を評価する時に「ユニットの限界突破なし、初期スキルで評価」「マップ上に味方はおらず、1対1の状況で評価」など、やむを得ず強い前提条件を設けて評価しています。
また、年々、バトル中に発生する効果は複雑になってきており、それらを手動で計算して導き出すのは困難になってきています。多くの人は正確な計算を行う事は放棄して、どんぶり勘定で自軍ユニットのエースを敵にぶつけて攻略していると思います。
これらの計算において、限界突破数は計算項目に登場しませんが、間接的にステータスが上昇するので、何となく強そうである印象を受けます。
例えば、飛空城の防衛が全員10凸のユニットだった時、以下のような印象を受けるでしょう。
- ゲームに多大な労力やお金をかけているガチ勢である
- きっと、防衛も研究に時間をかけて工夫しているに違いない
文字数制限のあるTwitter上では「全員10凸」という言葉はとても便利です。これだけ短い言葉でツイートを見た人に手強そうである印象を与える事ができるのですから。
しかし、これは手強い防衛である可能性があるだけで、実際は防衛の構成があまり熟考されていない事もあり、簡単に突破できることもあります。逆に全員無凸の防衛でも、構成が熟考されていて手強い防衛であることもあります。
限界突破にかかる費用が非常に高いこと
ω超英雄と通常超英雄のガチャ確率比較と考察 で通常超英雄で10凸にかかるオーブ数を調査したところ、色によって異なりますが、大体1600オーブから1900オーブ程度でした。金銭に換算すると10万2000円~12万2000円程度になります。
それだけ高いコストをかけて得られるリターンは苦手ステータス打ち消しと全ステータス+4~5です。大きな差ではありますが、場合によっては小さな差です。大きな差となる状況は、拮抗した状況でのみです。FEHでは、相性やスキル効果をうまく組み合わせることで、戦略的にユニットが有利な状況を作り出すことができますが、その策を打ってなおステータスが足りない場合に、限界突破によって得られるステータス差でその状況を覆せるのであれば、限界突破に大きな価値があります。
そうでない場合は、限界突破していてもしていなくても、結果に影響しないので、ユニットを強化することに意味がないことになります。
限界突破に必要な費用に対して得られるステータスの上昇は多くの人にとって対価に見合わないでしょう。金銭的余裕がないのであれば、想定できるメジャーケース、もしくは過去にあったケースを想定ケースとして評価し、限界突破すべきか否かを判断するのが賢明でしょう。
限界突破すると弱くなるケースもある
前の項目で少し触れましたが、限界突破する事によって弱くなってしまう場合もあります。以下に例を挙げます。
- 攻撃力が上がって、敵をワンパンしやすくなり、奥義カウントがたまりにくくなる
- 疾風迅雷が発動しにくくなる
- 耐久力が上がって、敵から一撃で倒されなくなったが、追撃で倒されるので、敵の奥義カウントを溜めてしまい、次に戦う味方が不利になってしまう
- 救援の行路の発動するために受けないといけないダメージが増えてしまう
- 例えば、HP36であれば落雷の罠の10ダメ+獅子奮迅4の8ダメで救援の行路発動条件を満たすことができるが、限界突破してHPが1増えたらさらに追加ダメージが必要になってしまう
- 再行動役の攻撃力が上がりすぎて、再行動より攻撃を優先しやすくなってしまう
- 再行動持ちは5ダメージ以上与えられる場合、補助より攻撃を優先するが、限界突破によって攻撃力が上がるとより攻撃を優先しやすくなる
- 武器を外せば解決するが、武器の効果が強力で、どうしても外せない場合がある
- キアの杖を受けるためのHPを揃えることができなくなる
- 例えば、無凸で他の味方と揃っている状況で限界突破してしまうと、HPが揃わなくなり、キアの杖の効果を受けられなくなってしまう
- 結果的に状態異常が治らず、またステータス強化も入らず、戦闘で大きく不利になる
- AIの行動順を制御するための能力値調整が不可能になる
- 例えば、補助対象の優先順位はHPを除く能力値合計の高いユニットが優先されるが、限界突破によって能力が上がってしまう事によって調整が不可能になる
- 結果的に意図した行動にならず、敵に攻撃できなくなる
このように限界突破するとある視点で見たユニットの「強さ」は低下してしまうことがあります。そして、限界突破は一度すると元には戻せないので、このような視点で限界突破によって弱くならないかは慎重に考えた方がいいです。
また、ユニットを限界突破せずに、素材として他のユニットに継承する事で、編成全体としては限界突破するよりも強くなることもあります。
このように、すべての面において限界突破する選択が必ず強化に繋がるわけではないということは覚えておいた方がいいです。
正しく強さを評価するにはどうすればいいのか
評価目的を明確にする
強いユニットが知りたい、これだけでは曖昧過ぎて話が先に進みません。まずは、評価する目的を明確にする必要があります。
- 飛空城攻撃で強いユニットが知りたい
- 総選挙ヘクトルに対して強いユニットが知りたい
- ロキの盤上遊戯で強いユニットが知りたい
評価すべき強さを明確にする
そして、これらを知るために、具体的に何を強さのベクトルとして評価すればいいのかを具体化します。- 自分から攻撃した時にどれだけ敵を倒せるかを評価する
- 総選挙ヘクトルをどれだけ倒しやすいかを評価する
- ロキの盤上遊戯で想定されるレベルの中での最大HPの高さの期待値を評価する
どう数値化すれば強さとして比較できるのかより明確にする
評価すべき強さを明確にできても、その強さを比較可能な数値として表現できなければ、優劣をつけることができません。どうすれば、数値としてそれらを比較できるのかを明確にします。
- すべての英雄と1対1の戦闘をシミュレートし、戦闘に勝利した割合を評価値とする。評価するユニットが先制攻撃する。戦闘時のユニットは初期スキル、限界突破なし、神階補正なしとする
- 様々なスキル構成の10凸総選挙ヘクトルを用意し、それらと戦闘をシミュレートし、その勝率を評価値とする
- ロキの盤上遊戯で想定される各ターンのHPの合計値を評価値とする。具体的には[★3 LV.15のHP] + [★3 LV.15のHP] + [★3 LV.16のHP] + ... + [★5 LV.58のHP]を評価値とする
ここまで具体的に数値化する事ができれば、ユニットの強さを評価し、優劣をつけることができます。
総合評価なんてものは信じてはいけない
評価すべき強さが曖昧であるほど、強さの評価は難しくなります。
例えば、何も知らない初心者は、各コンテンツのことをよく知らないので、自分でどの英雄が強いのか判断することができません。そこで、とりあえず、どの英雄をガチャで引いておけばいいのか知るために、攻略サイトを見たりして、各ユニットの総合評価なるものをあてにすると思います。
総合評価というものは右も左も分からない初心者にとって、とてもありがたいものです。すべてのコンテンツにおける総合的な強さが数値で表現されていれば、初心者でも誰を確保すればいいのか簡単に判断できるのですから。
では、「すべてのコンテンツで総合的に強いユニットが知りたい」という目的に対しては何を数値化すればいいでしょうか?各コンテンツ毎の強さを数値化し、それらの平均を取ることを考えます。では各コンテンツにおける強さは何を数値化すればいいでしょうか?飛空城では攻撃と防衛における強さの平均を取ることを考えます。では、飛空城攻撃における強さとは?飛空城防衛における強さとは?...このように木構造的に評価すべき強さは、枝分かれして、数えきれないほどたくさんの強さの数値を導き出し、それらを平均を取るなどで1つの数値に落とし込む必要があります。
何を強さとして評価すべきか、という点にすら、個人の主観が入り込む危険があります。例えば、飛空城での強さを評価するために自分がよくマッチングするユニットを評価基準とする場合、自分と違うレートにいる、つまり自分とは違う環境にいる人にとっては適用できない評価値となってしまいます。あらゆる状況が想定できるFEHにおいて、それだけ客観的に強さを評価するという作業は難しいのです。
更にこの評価値はゲームが更新される度に再評価が必要になります。環境が変われば、古い環境で計算した評価値は正しい評価値としては使えなくなります。例えば、総選挙ヘクトルのマルテが錬成された前後では、高く評価されるユニットの条件は大きく変わったでしょう。
当たり前の事ですが、入力パラメーターが常に変化する評価値は、その時にしか使えない刹那的な値です。
つまり、総合評価と銘打っているにも関わらず、その総合評価の数値が常にアップデートされていないのであれば、それは正しくない評価値です。
私個人の経験ですが、FEHを始めたばかりの頃は攻略サイトの総合評価を信じて、英雄を限界突破したことがありますが、それでよかったと思う事もありましたし、後で後悔することもありました。そもそもですが、あらゆる状況における強さを、1つの数値で表すなんてことは不可能なので、おそらく、こういったものは、誰かが主観の強い経験則で適当に数値をつけているだけです。その評価者の主観にあった使い方をするなら、妥当な評価となることもあるでしょうし、そうでない場合は全くあてにならない評価となります。真に受けてしまわないように注意すべきです。
とは言え、こういった総合評価が全く参考にならない訳ではないです。これはある特定の人の主観的な評価を数値にしたものと理解すれば、そのように評価する人もいるのだという参考情報にはなるでしょう。自分が正しく判断できない事については、自分より知識や経験のある他人の方がより正しい判断ができる可能性が高いので、その他人の評価をよく分からないけど自身に当てはめて進めてみる、というのは妥当な選択だと思います。
重要なのは、FEHのユニットの総合評価というものは、あくまで他人が主観的な評価をしてつけた数値であって、何らかの根拠に基づいた客観的な評価値ではないことを理解して取り扱う事です。
他人の「強い」が自分にあてはまるとは限らない
再三言ってきましたが、強さを正しく語るのは相当難しい作業です。他人が強いと言っていても、それはその人のプレイスタイルにおいて強いのかもしれませんし、その人の持っている別のユニットと相乗して強くなっているのかもしれません。
強さについて話している状況で、その指標が明文化されていないケースでは、評価者の主観的な強さだと考えた方が良いです。
他人の「強い」はある特定のサンプルとして参考にはなりますが、自分が真似した時にも本当に強いのかどうかは一度吟味が必要です。
まとめ
この記事で長々と書いたことを簡単にまとめておきます。
- 強さの種類は様々
- 限界突破数が強さの尺度と誤解されやすい
- 限界突破数が強いのは、闘技場などの査定だけ
- 強さを正しく評価するには、評価目的、指標を明確にし、具体的な数値に落とし込む必要がある
- 環境が常に更新される環境下において、多くの評価値は一時的にしか役に立たない
- 総合評価や他人の「強い」は参考程度に