ロゴ メインコンテンツへ
Twitterアカウント Youtubeチャンネル RSSフィード
全てのメニュー
読み込み中..

「再移動」は本当に必要か?―ファイアーエムブレムの「再移動」を考える

2025/04/29
(この記事の文字数: 2152)

私は『聖戦の系譜』を遊んだ後に『紋章の謎』をプレイしたのですが、『聖戦の系譜』では当たり前だった「再移動」システムが、『紋章の謎』には存在しませんでした。

再移動がないと、攻撃後に安全圏へ移動できる、いわゆるヒット&アウェイ戦法ができなくなります。これにより、戦術の自由度が制限される一方、戦闘の緊張感や慎重さが増します。
逆に再移動があれば、敵に一方的な攻撃を仕掛ける快感が得られる反面、ゲーム全体の難易度を下げ、戦闘が単調に感じられる場合もあるでしょう。

最近の作品では再移動が標準のようになっているため、『紋章の謎』を遊ぶ中で、改めて再移動の意味や影響を深く考えさせられました。

この記事では、再移動の長所と短所を整理し、FEシリーズにおける “再移動の必要性” について考えてみます。

再移動の長所

再移動の長所としては以下が挙げられます。

  • バトルでの選択肢が広がり、戦略性が高まる
  • マップ設計に濃淡が生まれる
  • ユニットごとの個性を強調できる

再移動が可能になると、プレイヤーの選択肢が飛躍的に増えます。
たとえば、再移動の有無だけでマップの攻略ルートが大きく変化するため、同じマップでもプレイ体験は異なります。

制作者側も、再移動の有無を前提にしたマップ設計が可能になることで、難易度の緩急を自在に調整できます。

  • 序盤は再移動なしでシンプルな攻略を楽しませる
  • 中盤以降、再移動を解放し、爽快な無双感を提供する
  • 終盤は再移動があっても苦戦するような高難度マップを用意し、深い戦術思考を促す

このような感じです。

さらに、再移動の有無をユニットごとの特性として落とし込むことで、キャラクターの個性付けにも貢献します。飛行ユニットのように地形無視+再移動という強みには、弓に弱いという明確な弱点を与えることでバランスも取れます。

再移動の短所

再移動の短所は、ほぼほぼ長所の裏返しになるんですが、以下が挙げられます。

  • バランス調整が難しくなる
  • テンポの悪くなることがある
  • ユニット格差が生まれやすい

再移動によって選択肢が増えるということは、それだけマップ全体の分岐も複雑化し、制作者にとってはバランス調整が困難になります。
再移動前提で設計すれば、その恩恵を受けられないユニットは不利になりやすく、ユニット間に格差が生じる恐れもあります。

プレイヤーにとっても、再移動による再配置を毎ターン考える必要があるため、1ターンにかかる思考時間が増え、テンポが悪く感じられることがあります。本来は再移動せずに敵の攻撃を受けることができそうな場面でも、ノーダメージで確実性の高い退避の選択肢が与えられると、そちらを選択したくなるものです。攻撃後に再移動して退避したものの、後続のユニットの攻撃で敵を撃破できてしまったので、先に攻撃したユニットは無駄に後退してしまっただけの状況になった、なんて経験を、誰しも一度はしたことがあるのではないでしょうか。

このような「やらなくてもいい最適化」に時間をかけることが、楽しい時間と感じられればよいのですが、人によってはネガティブに捉える可能性もあるため、製作側は配慮が必要です。

また、ユニットの個性を強調できるという長所ですが、これがしばしばユニット間の格差に繋がることがあります。

ヒット&アウェイができることはかなりの強みです。再移動を持っているユニットは持っていないユニットに比べて使い易さの面で大分有利になります。

実際、『聖戦の系譜』では騎馬、飛行ユニットの再移動の恩恵を感じたプレイヤーは多いのではないかと思います。特に飛行ユニットは地形無視できる性質もあり、過労死するんじゃないかというくらい働かせたプレイヤーが多いんではないかと。逆に再移動できないユニットは戦闘力の面で優遇させたり、別の部分で再移動のないマイナス部分を補う必要があります。

このバランス調整に失敗するとユニットに格差が生まれ、再移動を持つユニットばかりが使われるという状況になってしまいます。ユニットに個性を持たせつつ、ユニット間の格差を感じないような調整を行う難しさが発生するという点は、制作サイドの1つのデメリットであると言えます。

FEシリーズに「再移動」は必要か?

個人的な結論としては、再移動はあった方が良いと思います。

プレイヤー視点では、戦術の自由度が広がり、戦闘そのものが格段に面白くなるからです。『紋章の謎』をプレイしていても、「ああ、今の場面で再移動できたら…」と何度も感じました。

シリーズによっては、再移動に制限を設けることでバランスをとっている例もあります。
たとえば、移動距離が長いほど再移動できるマス数が減るといった仕様です(近年の『FEH』ではこの制約すら緩くなっていますが)。

また、『エンゲージ』では紋章士の力を使うことで全ユニットが再移動できるようになっており、システム全体で再移動を前提とした設計になっています。

制作側にとっては調整の手間が増えるという明確なデメリットはあるものの、再移動がもたらす深い戦略性と快適なプレイ体験は、その労力に見合う価値があると私は考えています。

これからも、制作側の努力に感謝しつつ、再移動を駆使してマップ攻略の奥深さを楽しめるような作品が続いてくれることを、1ファンとして願っています。


  このエントリーをはてなブックマークに追加  

<<「FEH研究所」の記事一覧に戻る

コメント(0 件)


©Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS

※当サイト上で使用しているゲーム画像の著作権および商標権、その他知的財産権は、当該コンテンツの提供元に帰属します。

ファイアーエムブレムヒーローズ公式サイト
にほんブログ村 ゲームブログ ファイアーエムブレムへ ファイアーエムブレムランキング